【「高齢社会対策大綱」の改定を決定】
政府は、今日13日の閣議で、高齢化対策の中長期指針「高齢社会対策要綱」の改定を決定したという。6年振りの改定。75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担が3割となる人の範囲の拡大を検討すると明記した。
現在では、75歳以上の窓口負担は原則1割で、一定の所得があれば2割、「現役並み」の所得があれば3割となっている。これを大きく変更しようとしている模様だ。
【日本維新の会が原則3割負担を求める提言発表】
今年3月5日日本維新の会は、「医療制度改革に関する提言」を発表した。この中で、「社会保障費の財源を確保するため、高齢者の医療費の窓口負担を原則3割にすべき」だと提言した。
「高齢者を支えるために現役世代に課せられる社会保険料の負担は限界に達した」とし、「若い世代の手取りを増やすのが最優先の少子化対策だ」と強調した。
現役世代の社会保険料を減らし、後期高齢者にもっと病院での自己負担をしてもらおう、というシーソーゲームだ。
【どの程度の負担増に?】
仮に維新の主張の通り、原則全員後期高齢者の窓口負担が3割になったとすると、では、どの位の負担増になるのだろう。
島澤関東学院大教授による試算ではこうだ。
現行1割負担者は、年額12万8342円の負担増、2割負担者は6万8896円の負担増になる。全体では2兆1404億円の負担増に。逆に現役世代は、一人当たり年額3万5千円程度の負担軽減になる計算だとか。
政府・財務省が、医療費負担が2兆円強増えたとしても、それを現役世代にそっくり負担軽減させるとは到底思えないのだが。
【後期高齢者はその負担に耐えられるのか?】
75歳を越える後期高齢者はほぼみな年金生活者で、低い年金額のため毎月の生活費不足で、預金を切り崩す生活を続けている人々がほとんどだろう。
年額約13万円もの出費増を更に支出し続けられるものだろうか。生活が厳しければ、よほどのことがない限り、具合が悪くても医者に行くのを躊躇することになるだろうし、高額手術や検査なども自重するようになるだろう。
「金持ちしか長生きできない時代」「年寄は早く死ねということ?」というネットの書き込みもあった。
医療費の高騰の原因はどこにあるのか。後期高齢者が、必要もないのにちょっとの病気でも病院に通院して、サロンの場のように医者にかかるからなのか。3割負担にすればそれが一気に減少するのか。
病院経営の問題な気がする。後期高齢者に、医療的には不必要な医療を続け、赤字の病院経営を何とか黒字に維持し続けているせいではないか。
不必要な投薬、CT、血液検査、化学療法など治療のオンパレード。治療できる段階でなくとも手術も無理に行い、病院経営に貢献する。そこの医療内容そのものにメスを入れることが一番の解決策だと思うのだが。