消費者金融大手から日弁連への異例の意見書ー「弁護士による二次被害」 | 笑う門には福来るのブログ

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【弁護士が直接面談もせず大量債務整理】

 5/17付今朝の朝日新聞1面と社会面での大きな記事には少々驚かされた。アコムやアイフルなど消費者金融大手4社が昨年9月、日弁連に対し弁護士の債務整理に関連しての「意見書」を提出していたというもの。

 

 債務整理を担当する一部の弁護士のやり方が目に余るもの。債務整理を受任するにあたって、弁護士が依頼者との直接面談もせず、面談しても十分な説明をしていない事例が「多数散見される」と批判している。

 

 ネット広告で全国から債務整理の依頼者を集め、遠方の依頼者との面談も怠っている可能性を指摘、日弁連に、各弁護士への規程の順守や違反者の処分を求めているという。

 

 これまでは、弁護士側から金融業者の違法な貸し付けを批判する立場だったが、今回は極めて珍しい金融業者側からの弁護士へのクレームだ。一部弁護士の不当な処理に、顧客がほとほと困っているという実情の告発なのだろう。

 

【債務整理って?】

 クレジット・サラ金から借り入れが多額にのぼり、返済不能になり、弁護士が代理人となり介入して、利息制限法を踏まえて和解交渉し、返済額を減額し、新たに和解した返済額で返済していくことである。

 

【整理屋・紹介屋・事件屋】

 きちんとした弁護士が代理人について、きちんと利息制限法を踏まえて業務を行ってくれれば安心なのだが、資格のない「整理屋」というやっかいな存在がいる。

 

 主に仕事がなくなった老齢の弁護士を「社員」として雇い月給を払い、「法律事務所」の名前をつけながら、業務に慣れた資格のない社員を使って「債務整理」を行っていく。

 

 弁護士は、最初に1・2分ほど顔を出し、挨拶するだけ。十分な事情聴取も法的アドバイスもない。最近では、若手の弁護士も抱えて大量に「債務整理」を行う所も増えてきた。

 

 3年ほど前から広告会社と一体となって、一部の弁護士事務所で債務整理をビジネス化している。全国にネット広告で債務整理依頼者を募り、弁護士の直接面談なども怠る。

 

 ほとんどの整理屋は、利息制限法や最高裁判例などを気にせず、依頼者に不利な条件で次々と和解していき、高額な「弁護費用」を要求する。

 

 見通しが困難な任意整理をあえて受任しながら、途中で辞任して着手金を返さないなんて例も意見書で指摘している。 

 

【弁護士が懲戒処分を受けて】

 そのような弁護士は弁護士法違反で証拠がつかめれば懲戒処分を受けるが、被害にあった依頼者からの懲戒請求を受けないと弁護士会ではなかなか処分まで至らない。

 

 依頼者は、新たな和解条件に従い、弁護士に毎月きちんと送金してきたが、何年も経って、弁護士が懲戒処分を受けたことを知り調べてみると、自分が弁護士に送金していたお金が債権者に全く届いておらず、「整理屋」が全部持ち逃げしていた例は沢山ある。新たに初めから債権者に再び支払いをはじめなければならない。

 

【弁護士の広告】

 今は、昔と違い弁護士の広告は自由化された。「地域のコミュニティー新聞で紹介されていたので安心していた」「バス・電車の広告だったので安心していた」と後で悔やまれる声を多く聞いた。最近はラジオ・テレビCMまで登場するようになった。今やネット広告も花盛りである。

 

 新聞記事では「債務整理をする弁護士による『二次被害』だ」という二次被害対策全国会議の釜井弁護士の言葉を紹介している。

 

 日弁連では先月、債務整理を受任する際の面談義務などを適切に行うよう全国の弁護士会に要請した。先月就任したばかりの渕上日弁連新会長は、法律相談関連の問題には精通していて、一部の問題弁護士・弁護士法人に毅然とした対応をしてくれるものと大いに期待したい。