中国での死後再審無罪判決に驚き | 笑う門には福来るのブログ

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【22年前の強姦殺人事件】

 中国河北省石家庄市で、1994年8月38歳女性工員がトウモロコシ畑で殺された。2ケ月後、当時19歳の男性工員が逮捕された。

 

 男性は、捜査段階で殺害を認める供述をしたが、裁判では無罪を主張。取り調べで拷問があった可能性を示唆していた。

 

 半年後の95年4月、二審で死刑判決が確定し、2日後に死刑が執行される。日本と比べ、裁判の短さと、確定後2日目に死刑が執行されるスピードに驚かされる。

 

 ところが2005年、別な事件で逮捕されていた男性が、この事件は「自分が犯人」と名乗り出て、メディアから「冤罪の疑いがある」と相次いで報道される。

 

 死刑になった男性の母親が、裁判所に再審無罪を訴え続け、最高人民法院(日本の最高裁)は、今年6月に再審開始を決定し、先日12月2日に「無罪」判決を言い渡した。

 

 理由は、「逮捕前後の本人や証人の調書がなくなっており、自白内容に疑いがある」などと指摘し、「被告の犯行とは断定できない」と判断したという。(12/3付朝日新聞記事) 

 

 判決理由で、男性の供述と他の証拠が一致せず、「供述には真実性と合法性に疑問がある」「客観的証拠に乏しく、他の人物が関与した疑いが残る」と指摘する。(12/3西日本新聞) 

 

【「司法改革の成果」か「政治介入の失敗」か】 

 最高人民法院の責任者は、「深刻な教訓をくみ取る必要がある」としながらも、「共産党は、事実に基づいて行動し、誤りは正す。これは社会の進歩であり、司法改革の成果だ」と訴える。中国指導部は、「法治」推進を掲げ、冤罪発覚が相次いでいるようだ。

 

 一方、最初に冤罪疑惑を報じた記者は、「省の党幹部による再審妨害の動きがあった」と証言する。この省幹部は、党の最高指導部で司法を担当し、汚職で摘発された周永康受刑者に近かったとされ、今年4月に失脚したという。

 

 「これは進歩ではなく、政治介入の失敗」とネットでの書き込みが相次いでいるようだ。

 

 同法院責任者が言う「深刻な教訓」が、いったい何を指すのか興味深い。「本人や証人の調書」が紛失してしまったようなことが、日常的にあることなのか、事件が明らかになることを恐れ誰かが廃棄してしまったのか、「指導部の司法改革の成果」を強調するのなら、更に具体的に明らかにすべきだろう。

 

 今回「自分が真犯人」との名乗り出がなければ、今回の死後再審無罪判決はなかったわけだ。免田事件・財田川事件・島田事件・松山事件・袴田事件などがある日本。死刑執行の在り方の他山の石でもある。