小説:本日も教官なり/小野寺史宜 | 本と映画と、たまに猫。〜そろそろ、おねむ〜       

豊士の教習車には今日もさまざまな人が乗り込む。カレシに飲酒運転をさせまいと教習所に通う佳世。就職先で免許が必要な大学四年の七八。孫娘の幼稚園送迎のため69歳で免許取得を目指すしの。彼ら教習生に対し紳士的に接することを心掛ける豊士。だが、それどころではなかった。17歳の娘が妊娠したというのだ。若い男女の教習生は、ついつい娘とその相手に見えてしまう。加えて現カノジョ・万由とは徐々に疎遠に。元妻・美鈴との再会がそれを加速させる!? どうなる、ロック中年・豊士!!(amazon)

一言「いつでも人生、初めての連続」。

 

よかった点

・車校が舞台って新鮮。身近な存在なのにね。そこがまずナイス。

 

・教習車という狭い空間での教官と生徒。それぞれの人間模様が進むペースが面白い。

最初はビクビクハンドルを握っていたのに、あっという間に免許を取得する生徒もいれば。「やめたほうがいい」と主人公が言ってしまう生徒もいたり。

 

・主人公は車校の教官だけど、人生の教官じゃない。

娘の妊娠に心揺れる父の側面等、悩める45歳が等身大に書かれている。

 

・車高って免許証=社会への第一歩。受動的から能動的の始まり。

そういえば私も車校途中で休んだり、卒検落ちたなあと思い出した。

 

いまいちな点

・「ロックな教官」ということで、各章のタイトルが歌の題名になってたけど。

一つもわからなかった。作者の小野寺さんとは同じ歳なんだけどなあ。

わかるともうちょっと、主人公寄りになれたかも←わからなくてもOK

 

3年ほど前の作品。淡々としてるけど、どこかこの作品の中に自分もいるような。

そんな感覚になる良作でした。

 

⭐️今日のマーカーワード⭐️

「社会に出たら、追いつめられることは何度もあるよ。予想外のことも起きる。そうなっても対応できるように動かなきゃいけない。運転と同じだよ」。

 

個人的にここも。

「運転中にスマホで見なきゃいけない情報なんて、一つもない」

いまだ交差点で見かけます。やめれー(怒)。

 

今日も一日お疲れ様でした。

明日もいい日になると、いいね。