最後の夜を覚えているか<手のひらの音符/藤岡陽子> | 本と映画と、たまに猫。〜そろそろ、おねむ〜       

デザイナーの水樹は、自社が服飾業から撤退することを知らされる。45歳独身、何より愛してきた仕事なのに……。途方に暮れる水樹のもとに中高の同級生・憲吾から、恩師の入院を知らせる電話が。お見舞いへと帰省する最中、懐かしい記憶が甦る。幼馴染の三兄弟、とりわけ、思い合っていた信也のこと。〈あの頃〉が、水樹に新たな力を与えてくれる――。人生に迷うすべての人に贈る物語!(新潮社)

水樹の会社が業務縮小のため、服飾部門を閉鎖・・・つまり失業の憂き目にあい。

「これからどうしたら」と思っていたところに、恩師が闘病中の連絡が入ります。

「やっと水樹につながった、、あとは信也だけがどうしても連絡が取れないんだ。水樹知らないかい?」の憲吾との話で、水樹が子供の頃を回想する。という展開です。

 

水樹の今と、子供の頃の話が行ったり来たりするのですが。

比較的わかりやすかったです。

たぶん水樹が私と同年代の設定だからかな。

あの頃は兄弟は2~3人いるのが普通で、学年が違っても幼馴染同様。

だけど過ごしていくうちに、家庭環境が変わって来たりなど。

家計が苦しいのは、子供に重くのしかかる。

心が離れ離れになっていく過程が、切ない。

「あの時が最後の夜だとわかっていたなら」。過去に帰ることはできない。

 

話のカギになる、恩師の遠子先生。

水樹の家庭事情では、高校卒業後の進路は就職しかないのに。

デザインの才能を見抜き、褒め、専門学校への後押しをしてくれた先生。

「人生を変えるきっかけをくれた人なのに、東京に出てから連絡一つしなかった」。

と自分を責める水樹に、遠子先生は言います。

「生徒はたいてい恩知らずなものよ。元気で楽しくやってくれてれば、それでいいの」。

なるほどなー。先生って、そういうものなんだね。

 

水樹達の重い過去の話が進んでいって、今の話にやっとつながった終盤。

目の前の扉が開く感じで、すーっと明るくなっていく様が、よかった!

水樹も信也兄弟も。苦労した分、その次につながるのだなあ、としみじみ。

読者もずっと読んだ分、救われた気分です。

 

藤岡さん、なかなか読み応えのある作品が多いので(元記者。私のブログでも度々出てますね)。

要チェックです。

 

今日も一日お疲れ様でした。

明日もいい日になると、いいね。