なきむし(6〜8歳) | 8歳7歳息子との絵本生活

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絵本感想が中心です。読み聞かせ講座をきっかけに絵本の世界に魅了され、いまは子供そっちのけ、自分が絵本を楽しんでいます。息子たちは、1年4ヶ月差の歳近めの兄弟です。小3の長男、小1の次男です。気になることは子連れキャンプ、子連れディズニーランド。

「なきむし」

作:いまむらあしこ

絵:にしざかひろみ

「なきむし」と「きかんぼ」の2つのお話が収録されています。なきむしは、正義感の強い人のために涙を流せる子のお話が、クラスメイトの女の子の視点で描かれます。きかんぼは、異性の幼馴染とのなんともいえない距離感を描き、幼馴染の男の子の視点を通して人の痛みを自分の痛みのように感じられる女の子のエピソードが描かれます。共通して、子供が持つ自身の正義のようなものが主軸になっています。

お話の長さは、それぞれ読み聞かせで30分くらいで読めるくらいのボリュームです。どちらのお話も話題の中心となる子を、他の友達が語るような構成が特徴的です。


うちの子たちは「きかんぼ」はあまりうけませんでした。同じような関係性の女の子がいなくて、主人公の子の気持ちにイマイチぴんとこないのかな。一方、「なきむし」の方は絵本の世界にすごく入り込んでいました。


いじめっ子気質のとおるくんに「ほんとにダメだ!先生に言った方がいい!」と憤慨する長男。いじめられっ子の藤井君に「かわいそう」と同情する次男。2人の反応を通して、いま身近にはこんな子はいないことの確認もできました。


「なきむし」は三部構成となっており、鳥の親子、物損事故、いじめのエピソードと続き、段々と強く感情移入しやすい構成になっているのも良いところです。鳥の親子のエピソードは、ふーんくらいの反応で聞いていた子供たちが、物損事故のエピソードではとおるくん良くないねーとぼやき始め、いじめのエピソードは前述したような強い感情を持ったようでした。


「なきむし」「きかんぼ」に出てくる子供のように、自身の正義を持ち、筋の通った子に育ってほしいという親の思い。一方で、正しいことを主張し続けることは風あたりも強く、本人にとっても負担がかかるもの。自分の子には適度なスルー力も持ってほしいと感じてしまうのは親の勝手な相反する思いです。

長男は言葉にこそ出さないときはあるものの、心はゆうきくんのようなまっすぐな性格であり、道子のようにやさしい心が育っていると感じています。次男は、適度なスルー力、周りの流れに合わせてこうとする力があるかな。


元々、長男はストーリー性のある絵本を聞ける力がありましたが、ここへ来て次男がよく物語を聞けるようになったなと感じます。小学生になったことの影響もあるのかな。