「モチモチの木」
作:齋藤隆介
絵:滝平二郎
おうち絵本からチョイス。臆病な豆太が、大好きなじさまを助けるために、行動を起こす物語。
ストーリーはドラマティックなのですが、淡々と描かれていて、感動してください的な煽りは一切ないです。でも、読み終わったとき、心にじんわりときます。
そして、絵もとてもキレイ。表紙だけ見ると、ちょっと怖い絵本っぽい雰囲気もあるけど、中身はとてもキレイです。モチモチの木の光る場面がとても好き。その場面までは黒がメインの色抑えめに描かれているだけに、読んでいくと、わぁっと気持ちが盛り上がります。
そして印象的なのは、このじさまの言葉。
にんげん、やさしささえあれば、
やらなきゃならねぇことは、
きっとやるもんだ。
うちの息子も7歳5歳にもなって、トイレついてきてと怖がります。田舎の実家なんかと違って、広い家じゃないからトイレ近いし、どんだけ怖がりなの!って思うんです。でも、大事なときに勇気出せるなら、トイレ行くの怖がるくらいはいいのかなぁと。やさしささえあれば、必要な勇気が出せるというのは、真理だよなぁと思いながら読んでいます。強くありなさいみたいなことを言うんじゃなくて、こういうじさまのような言葉を子供にかけられる大人でありたい。
子供が夜の道を行く物語としては「ぼく、ひとりでいけるよ」という絵本があります。リトルラクーンが頑張る様子が可愛らしいおすすめの絵本です。
「ぼく、ひとりでいけるよ」では、できなかったことができるようになる成長過程に主眼がおかれており、お母さんの支援の元、リトルラクーンはやりとげることができます。
この「モチモチの木」では、自分が対峙した場面で必要な勇気を出せることに主眼がおかれており、豆太は自分自身の判断で夜の道を行く決断をするのです。
モチモチの木の方が、より大きくなった子供におすすめ。子供たちは、親の支援の中で成長していく年齢から、自分自身の意志で決断して物事に取り組んでいく年齢へと成長していくんですね。
メッセージ性もありつつ、そんなに長くなくて眠る前の読み聞かせでも使える。絵もキレイ。定番中の定番ですが、おすすめの一冊です。