4月も中旬に入り県内ではシーミー(清明祭)がピークを迎えている。各地の墓では親族が、お花、お酒、重箱料理を供えお祈りがおわった後にウチカビ(打ち紙=紙銭)を炊き、祖先供養し、親睦を深めている。
ところで、シーミーやお盆などに使うウチカビ「後生(グソー)の銭」は祖先があの世でお金に困らないようにと焚かれます(カビアンジ)それは煙となって冥界に届き、現金として使用できると考えられていることは周知のことである(燃やすことによってご先祖に送金する)。
この、ウチカビは中国の福建省から1300年代に伝来したといわれ、原料は藁を使い薄い黄土色した紙180mm×200mmの全面に直経15mmほどの鳩目銭の型が200個エンボス(刻印)されています。5枚(5万グワン)を一組に半分に折り曲げられてあり、三組をセットで使うのが一般的であると言われています。

市販のウチカビ(県産品)
かつては中国から輸入された唐紙を買い各家庭で自分たちの手で「木の型」「鉄の型」をかなづちで打って鳩目銭の刻印を付けていたそうです。子供の頃、父がお盆になると「鉄製の型」を使い一つ一つ手打ちしてウチカビを作っていた記憶があります。また戦後すぐの物資の乏しい時代には薬きょうがらの底部分を利用してウチカビを作っていたと聞いた事があります。いかに祖先を大事にしていたかがわかります。
今ではスーパーでプレス(型押し)されたものが手軽に買えますし、また最近ではコンビニでも売られているウチカビですが90%近くが中国からの輸入品だそうです。

かつて使われていた「鉄製の型」ポンチ
近年では本物の一万円札によく似た印刷されたウチカビも発売されていますが、しかし昨年5月にこの紙幣を模倣したウチカビを悪用した詐欺事件も発生しています。ウチカビはやはり従来品の黄土色に型押しされたものがよいと思います。
仏事や祭祀時にかかせないウチカビですが井戸や湧泉を拝む時にはウチカビ、線香には火をつけないそうです。理由は井戸(水)の神様は火が嫌い、つまり水と火は敵対するからと聞きました。
ウチカビを焚く風習は中国始め、台湾、韓国、香港、シンガポール、ベトナム、マレーシアなどにもあるそうです。
「外はまんまるく、内に角たてて、ぐんじゅみの如く、浮世わたら、という琉歌があるが、ぐんじゅみとはつまり鳩目銭のことで、鳩目銭のように、外はまるくとも、内に角があって時流に流されないバックボーンを持って浮世をわたりたいもんだ、というほどの意味のようである。 1979年 親泊元高、念念緑より」
鳩目銭のデザインは「外柔内剛」ウチナーンチュの精神構造、沖縄の心を暗示しているように思います。
このように見てくるとウチカビは私達の生き方、考え方にも深く根付いていて、今も琉球文化が息づいていることを教えてくれます。