沖縄で台風24号に遭遇しました。これほどの台風を身近に経験したことはありません。直撃前の強風と直撃時の強風は、強風と言っても威力が違っていて、それは数字で示されたのでは理解が出来ません。あえて外に出て体感してみると正に飛ばされるというか、空を飛べそうというか、凄まじいものです。街路樹やホテルの植栽は、正に折れんばかりに傾き、よく耐えている、といのが実感でもあります。自然に勝てるのは自然だけであり、人が自然に勝つことは出来ないと肌身に感じた瞬間でもありました。

沖縄でのホテル滞在で、もちろんホテルから外出しないということは当たり前ですが、もう1つ学んだことがあります。それは、ホテルが停電、断水になった時、どうするかといことです。自宅にいれば、台風情報に敏感になり、土砂災害、停電、断水、家屋倒壊等の被害を想定して事前準備をする人が多いと思います。ホテルに滞在していた時の思いは、どうであったかというと飛行機が飛ぶか、飛ばないか?飛ばないとするならば、いつの便に変更できるのか?そうなるとスケジュールの変更をどうするか?こうした思いばかりが先行し、航空会社のWEBをスマホでチェックばかりしていました。

 

夜20時頃だったと思いますが、メインの照明が突然消えて、予備の小さな電球に切り替わったのです。何が急に起こったのか、最初わかりませんでしたが、停電になり、きっとホテルの予備電源が起動したのだろうと気づくのです。外は凄まじい防風と雨が降っていて、ホテル内でもその音が響いてきています。スマホをいじりながら、沖縄に持ってきていた小説を読んでいると今度は、予備電源でついていた照明も切れて真っ暗になってしまったのです。後は、室内に設置されている懐中電灯しかありません。

 

明日になれば復旧するだろう。こうなったら寝るしかないと思い、お風呂に入ろうとバスタブに行くと蛇口をひねっても水が出てこない。お風呂に入るのをあきらめて、歯磨きをしようと洗面台に行って、蛇口をひねっても、もちろん水は出てきません。しまった・・・・。もう一度、バスタブに行き、蛇口をひねり、たらたらと流れてくる水をためる算段に入ったのです。少しはたまるはずと・・・。こうなると水洗トイレの水も一度流したら、溜まらない、トイレを使っても流せないということだ。

 

この時間で何かを対処することは不可能。ただスマホの充電も出来ないので、省電力モードに切り替えて、必要な時だけしか使わないようにしょうと考えたのです。どのレベルの停電なのか、原因も範囲もわからないので、スマホの電源が切れたら情報収集の方法が無くなってしまうかもしれないのです。今宵は、ペットボトルの水を少しだけ使い歯磨きを済ませて、就寝です。後は明日考えて、対応すれば良いと・・・。

 

目覚めると7時、朝になっても電気は回復していませんでした。ホテルのエレベータも止まっているし、カードによるオートキーも使えません。鍵をかけずにフロントに降りていくと、朝食を食べるレストランは開いていたのです。事前に支払っていた朝食代を返金していて、おにぎりとパンを一人それぞれ1つづつ配り、ジュースとサラダだけは、オープンキッチンで選べるようになっていたのです。正にホテルの機転、朝食が用意されていたことは助かりました。朝食を済ませて、フロントに行き停電の復旧についての見込みを聞くと「まだ、わかりません」という答えでした。そうだろうな、と思い、とりあえずカードキーをどうしたらよいか、たずねると所謂、鍵を持って来て「こちらを使って下さい」と言われたのです。なるほど、もしもの為に普通の鍵も使えるようになっていたのです。これで、荷物を置いて外出できます。

 

部屋に戻り、僕の沖縄の拠点でもある「スタートアップカフェコザ」に行く準備に入りました。と言っても、シャワーを浴びることは出来ないので、バスタブに3㎝程溜まった水で顔を洗い、タオルを浸して、そのタオルで体を拭き、ペットボトルの水で歯磨きをし、流さずにトイレを使い、電気シェーバーでひげを剃り準備完了です。どの範囲で停電になっているか、わからないけれど、天気も回復し、街に車も走行しているので、タクシーに乗ってスタカフェに・・・。スタカフェに行ってみると道路を挟んで2つあるオフィスのうち、1つは電気が通っていて、電気がある方で皆、仕事をしていたのです。僕は先ず、スマホとPCを充填させました。中越地震が発生した際に町長であった故長島忠美衆議院議員が、10年前に僕の地元で行った講演で言ってたっけ「災害時にはスマホだ。枕元にはスマホを置いて寝ることが大切」と。確かに実感する。スマホは独立した電源により動いているので、情報を得るのに必需と。

 

そして、だんだんと停電の範囲と被害状況がわかってきたのです。僕の宿泊していたホテルは北谷町のアメリカンビレッジと言われる新しく開発されたエリアで、そのエリアでも停電となっている地域となっていない地域があるということ。歩いてわずかな距離であったも復旧の見込みすらたっていないエリアがあるということを。電気のあるスタカフェで、飛行機の変更をして、横浜に帰る日が3日遅くなることになりました。アポなどの予定変更の連絡等を済ませて、コザの街に買い出しへ、コンビニ、スーパーは臨時休業、個人店でお弁当を買ってスタカフェに戻ったのです。しばらく仕事をして、さて、停電エリアにあるホテルに帰ろうと・・・。

 

(Vol.2に続く)