福ぶっく堂 7月の開店カレンダー

 

7月にはいっても、しばらくは梅雨空が続きそうです。

雨の日は家のなかで、ひとりの時間を味わいたい。

そしてこんな本が横にあれば・・・

 

石垣りん『朝のあかり 石垣りんエッセイ集』(中公文庫)

 

「表札」や「私の前にあるお鍋とお釜と燃える火と」などの作品が有名な詩人、石垣りんの生き様が詰まったエッセイ集。

 

彼女は14歳で銀行員の見習いとして就職し、戦前・戦中・戦後もずっと銀行勤めをしながら一家を養い、詩を書き続けたのでした。

女性の地位が極端に低い時代に、職場の最底辺からみた社会を、決して声高でないけど真正面から斬り込んでいます。

 

この『朝のあかり』を読んでから「表札」という詩を読み返すと、どんな覚悟で彼女が「石垣りん」として生き、働き、詩を書いてきたか、その覚悟と精神力の強さに圧倒されます。

 

『石垣りん詩集 表札など』(童話屋)

 

今やマンショなどでは、表札を掲げている家が少なくなりました。

「自分の住む所には 自分で表札をかけるに限る」

と、石垣りんさんに叱られた気がします。