
そんなのはどうでもよくて、
帰り道のM&Sで花を買った。
入口の辺りに並んだ色とりどりの花束の中から、
部屋に合いそうな、薄いオレンジ色の物を選んで、
それが薔薇という花だって気付くのもその後。
自分の部屋に飾る花を買うなんて生まれて初めてで、
どうにも自分らしくない行動に笑ってしまう。
とかく、こういうのには疎いのだ。
実家にいた頃、母は花が好きで、
いろいろな名前を僕に教えたけれど、
僕が覚えられたのはキンモクセイだけだった。
理由は、匂いがきつくてイヤだったから。
うちに帰って気付くのは、花瓶なんて持ってないこと。
かろうじて見つけた、細長くてきれいな形のマーマレードの瓶で代用。
朝になったら、ラベルくらいは剥がしてやろうか、なんて。
で、目が覚めて。
部屋に花があるっていうのは、意外と悪くない。
無機質だった空間に、少しだけの生命がやってきたような感覚。
静止した部屋の中、花を置いたその一角だけが呼吸をしている。
生活の中に、季節感を持ち込むっていうのは、
とても正しい気がする。
で、陽の当たる窓際。

バラの後ろに、まだサンタクロースが残ってるのは愛嬌ということで。
そういや先週くらいから、窓の外の木にも実だか蕾だかが生り始めている。
春が来てるんだ。少しずつ少しずつ。
