今回ご紹介するギターは、TAMA TG-135 です。TAMA のギターは、ジャパンヴィンテージの中でも最高峰に位置するものと自負していますが、特にこのTG-135は、国内ではほとんど見ないレアなギターです。この当時の日本のカタログには掲載されていないので、輸出用として作られたのだと思います。

 MartinのD-28スタイルのTG-120と比較すると、3ピースバック以外は大きな違いはなく、70年代後半のこの時代では、外せないモデルだったのかもしれません。

 また、よく「ドンシャリサウンド」と表現されるD-28に比べて、低音はやや控えめですが、高音が美しくクリアに響くD-35のサウンドは、多満製作所の製作者にとっても当時魅力的だったのでしょう。

 ちなみにオール単板のこの個体は、トップ、サイド、バックにも割れや修理痕はなく、全体的にきれいな状態です。

 

(画像1)全体的にきれいです。

 

(画像2)バックの木目もきれいです。

 

(画像3)サウンドホール右上のフレッド横の打痕のようなものは、傷ではありません。

 

(画像4)オール単板です。少し薄い白濁があります。

 

(画像5)トラスロッドは、ナット下にあります。

 

(画像6)ボリュートもきれいです。

 

(画像7)

 

(画像8)

 

(画像9)8から始まるので、1978年頃の製造と判断しました。

 

(画像10)ラベルもきれいに残っています。

 

 サンプル音の参考動画をお付けします。同じくらい明るく繊細に鳴ります。 Bing 動画

 

(画像11)

 

 ブレイシングの剥がれの修理も終わり、完璧な状態でリペアから帰ってきました。高松市のギターリペアナカムラさんには、本当に感謝しています。

 

(画像12)左からTG-80、TG-120、TG-135、TG-160とレギュラーラインは何とか揃いました。

 

(画像12)バックの方が特徴的ですね。

 

《まとめ》

 今回のTAMA TG-135 は、本当に素晴らしいサウンドで、私のTG-120、TG-120BS と比較しても音量が豊富で、明るく軽やかに鳴ります。

 今後もレア度の高いジャパンヴィンテージをご紹介したいと思っていますが、中々これまで以上のものは難しいです。

 よって、ブログの更新もさらに遅くなるかもしれませんが、頑張って投稿していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今回ご紹介するギターは、TAMA TG-120S です。TAMA のTG シリーズは、1976年から1979年頃まで制作されたそうですが、輸出用がほとんどであったらしく、今では大変貴重なギターです。

 その中でも特にこのTG-120Sは、カタログにはないモデルで、しかもシリーズの中でも唯一のスキャロップドブレイシングを採用しています。 

 音は、同じシリーズのTG-120やTG120BSよりもボリュウム感があり、低音もよく響くのに、なぜこのモデルがレギュラーラインに乗らなかったのかが不思議です。

 

(画像①)

 

(画像②)トップの白色は光の映り込みです。

 

(画像③)

 

(画像④)

 

(画像⑤)

 

(画像⑥)

 

(画像⑦)

 

(画像⑧)

 

(画像⑨)

 

(画像⑩)

 

(画像⑪)

 

 TG-120SのSは、スキャロップの意味としてネット上でも知られていますが、どれくらいの削り具合なのかは不明で、大変興味がありました。写真はありませんが、やはり初期の Ibanez の ArtWood シリーズとほぼ同じで、ほんのわずかしか削られていませんでした。

 ただ、TG-120 の Xブレイシングより力木が全体的に細く、トップ板もTG-80やTG-120より0.2mmほど薄いことが分かりました。

 

(画像⑫)(初期のArtWoodシリーズのカタログより)

 

(画像⑬)TG-120BSの非対称な独特のブレイシングです。

Xブレイシングとファンブレイシングを組み合わせた特殊な構造で、オーバーバランスベース力木構造と言うそうです。ちなみにこの120BSのBSはブルーグラスの意味とのことです。

 

(画像⑭)TAMAの重量比較をして見ました。

右からTG-160(2.40kg)、TG-120(2.20kg)、TG-120S(2.30kg)、TG-120BS(2.05kg)、TG-80(2.10kg)と、以外にもBSが一番軽いということが分かりました。

 

 

《まとめ》

 今回のTAMA TG-120S は、本当に素晴らしいサウンドで、私のTG-120、TG-120BS と比較しても音量も豊富で一番よく響きます。しかし、3種類も同じスペックで製作し、ブレイシングの違い等でサウンドの違いを追求するなど、多満製作所のレベルの高さには本当に頭が下がります。

 これこそ後世に残すべき日本のギターだと思いました。

 

(画像⑮)雑誌の切り抜きは当時のものです。

 

(画像⑯)

 

(画像⑰)

 今回ご紹介するギターは、Bozo B-80S Bell Western 
です。Bozo はアメリカのメーカーですが、1970年代に S.Yairi が Bozo の OEM としてわずかだけ製造していました。1975年の海外のカタログにはすでにこのモデルは掲載されていますが、他のネット情報では、この個体のシリアルから1979年頃のものと思われます。日本での販売はおそらく無く、価格はその当時約8万円程度だったと思われます。

 Bozoのギターについて少し説明しますと、本家製作者のBozo Podunavic はセルビアで生まれで、1950 年にユーゴスラビアのベオグラードで熟練の弦楽器製作者 Milutin Miadenovic の下で見習いをし、1970 年代半ばに南カリフォルニアに移り住みました。その頃から彼の楽器に対する需要が高まり、S.Yairiとの契約に至ったようです。Bozo は、レオ・コッケやハーヴェイ・マンデルのようなトッププレイヤーが使用する海外では名の知れたメーカーで、海外物ですが私としては別の意味でジャパンヴィンテージと呼べるギターだと思っています。

 

(画像1)

 

(画像2)透明ピックガードです。

 

(画像3)材は素晴らしいです。

 

(画像4)小傷は多いです。

 

(画像5)独特のヘッドです。ナットは水牛のようです。

 

(画像6)ペグは変えられています。

 

(画像7)割れ止めはあります。

 

(画像8)

 

(画像9)右下にMADE IN JAPANの印字があります。

 

(画像10)1979年製のS.Yairi の個体とシリアル番号が近いので、その当時の製造と推定しています。

 

 

《まとめ》

 個性的なギターであるだけでなく、音も素朴で大変素晴らしい国産ギターです。海外のOEMをジャパンヴィンテージに加えるのは異論がある方もいると思いますが、日本の技術が世界に評価された例としては、やはり後世に残したい日本の傑作ギターだと私は思っています。

 

(画像11)ボディー形状が独特で、合うハードケースが中々見つかりませんでした。

 

(画像12)

 

 

 

 今回ご紹介するギターは、TAMA TW-07です。星野楽器の多満製作所で1977年から1979年ごろまで製作されたと思われる輸出用ギターで、中々市場に出ることの無いモデルです。

 TAMAのモデルには、他にTGシリーズがあり、ネットでもよく見かけますが、その中のTG-80にあたる機種がこのTW-07になります。マホガニーサイド・バックのオール単板仕様は同じですが、ボディー回りやヘッドにバイディングがあったり、ポジションマークがスノーインレイであったりとTW-07の方が少し豪華な印象です。

 TAMAの総単板シリーズは、TGシリーズ、TWシリーズ、そしてクラッシックギターのTCシリーズの3種類だと思いますが、TAMAは単板、合板を問わず音は素晴らしいです。

 

(画像①)

 

(画像②)トップにも割れはありません。

 

(画像③)

 

(画像④)

 

(画像⑤)ヘッドの横幅は、TG-80より少し広いです。

 

(画像⑥)オリジナルペグです。

 

(画像⑦)

 

(画像⑧)

 

(画像⑨)

 

(画像⑩)ケースもオリジナルのようです。

 

(画像⑪)トップ板は、TG-80よりも厚いです。

 

  

(画像⑫)当時の保証書です。

 

 

《まとめ》

 今回のTAMA TW-07 は、当時の神戸の楽器店の保証書がついており、輸出用ですが国内でも販売されていたことが確認できました。その他のモデルのTW-09 やTW-010も国内販売があったかどうかはわかりませんが、この数年は海外のネット市場でもあまり見かけない気がします。可能なら一度実物を見てTGシリーズと比較してみたいものです。

 数年来 TAMA を探し続けていますが、TAMA にのめりこんでしまうと本当に「アコギの沼」から脱出することは、大変難しいです。この危険な沼からの脱出は、やはり TAMA TG-190 の購入でしょうか。いやその前にTG-135 とTG-80-12 もほしいので、結局は沼から脱出できそうもありません。

 今回ご紹介するギターは、YAMAKI 1200 です。1970年代前半のYAMAKIの縦ロゴで、市場ではまず見ない”幻”とも呼べるギターです。私が、このギターを手にすることができるとは、思ってもいませんでした。

 スペックは、エゾ松トップ、ハカランダサイド&バックは単板です。特に裏板のハカランダは、ほぼ柾目の極上品で、70年代初期でもこれ程の極上ハカランダ単板は中々見ることはないと思います。

 YAMAKIの元営業の方の話では、当時YAMAKI 1200 は、宣伝用として楽器屋に配られたギターで、普通に流通するギターではなく、非売品だったとの情報もあります。

 またこの1973年当時、YAMAKIの手工品として作られたギターは、他にも 1100(10万円)、1150(15万円) がありましたが、各モデルとも月平均3本ペース程度であったようで、高級手工品の国内需要がいかに少なかったかが分かります。

 音はハカランダ特有のブライトで芯の有る伸びやかな低域と輪郭のハッキリした粒立ちの良い中域に、煌びやかな高音域が魅力で1968年製、1969年製のマーチンD-45に近い音と言う方もいます。

 

(画像1)全体的に小傷が多いです。

 

(画像2)大きな割れはありません。

 

(画像3)全体的にバインディングに黄ばみがあります。

 

(画像4)白濁が少しありますが、黒いマホガニーかと思うぐらいの柾目のハカランダです。

 

(画像5)黄ばみが目立ちます。

 

(画像6)サイドに割れ止めはありません。

 

(画像7)角の丸いヘッドは初期のものです。

 

(画像8)シャラ―ペグもオリジナルです。

 

(画像9)豪華な作りです。

 

(画像10)アバロンインレイは、D-45と同じです。

 

(画像11)少し白濁があります。

 

(画像12)梁型ブロックです。

また、ロッド調節穴の左に『M』の印があります。

 

(画像13)1.200のスタンプが残っています。

 

 

《まとめ》

 今回のYAMAKI 1200 は、ある意味「国産ギターの源流」に位置するギターであり、日本を代表するジャパンヴィンテージの1台だと思っています。以前にTAMA TG-160 を「ジャパンヴィンテージの最高峰に最も近いギター」と紹介しましたが、まさしくこのギターは、タイプは違いますが同レベルかそれ以上です。

 この当時、YAMAKI 1200 は、恐らく日本最初期のハカランダ単板を使ったD-45タイプであったでしょう。D-45に負けない音量と煌びやかさは、マーチンがハカランダのD-45を作らなくなった時代の『国産ギターの傑作』だと感じています。

*【写真追加します。】