杜の都の東には今、被災して
「それから、の声がきこえる」場所がある。
仙台市地下鉄で荒井駅へ。
荒井駅の改札を出ると、駅の出入り口を正面に見て、右手に「せんだい3・11メモリアル交流館」がある。
2階展示室へ行くと、壁一面に震災と津波の写真が掲げられていた。
一際目を引くのは、陸に上がった、あの日の凄まじい波。
再び、あの日の出来事がまざまざと浮かび上がった。
異常な揺れ、降り出した雪、ラジオを聞きながら過ごした真っ暗な夜、朝焼けの空、東に真っ黒にたなびく煙の雲・・・
非常時の中で届いた翌朝の新聞、後日出向いた時の、変わり果てた沿岸部の光景・・・
3・11から、日常が戻りつつあっても、時々ふと心がざわつく。
壁を見ながら奥へ進むと、声の聞こえる小部屋があった。
『それから、の声がきこえる』部屋。
この展示は、震災による出来事と思いを、感じ取るもの。
棚の本を手に取ったり、腰かけて壁や柱に耳を近づけたり、キャンドルに息を吹きかけて耳に当てたりすると、語る声が聞こえる。
「そうそう、あの時はこんなだった」と頷いたり、
「こういう思いをした人もいるのだな」と心を痛めたりしながら、同じひと時を共有している感覚になる。
この、『それから、の声がきこえる』は、7月2日まで開催されている。