ボスが「今日は帰れ」と言う。
帰れと言われて帰らないのは、帰るなと言われて帰っちゃうのと同じ効果を発現してしまうので、ここは数秒で命令意図を理解して良い子になって帰ることにしました。
景気の波はそのうち戻るでしょう。それまでは趣味なり勉強なり酒に出会いに時間をついやすことにしましょう。
今日は気になっていた堀辰雄著「風立ちぬ」を読んでみました。
ひとことで要約すると、
「結核にかかってしまった妻が、看病の甲斐なく結局死んでしまう」
という、きわめて淋しくて悲しい話でした。
読者に対して、人として誰もが少しは持っているやわらかいものを強制的に表面に出させる文章で、通勤電車のなかで読むならば、朝に読むのはお勧めしません。
朝に読んでしまうと、特に愛妻家や男やもめのひとたちに対しては昼間は毅然とした態度が取れなくなるはずです。
「病んデレ」とか揶揄する感想も世の中にはあるようですが、わたくしとしては、全編通してこれでもかとずーっと続く、丁寧すぎてよわよわしい登場人物のこころの様子が刺さりに刺さってきて、さすがは21世紀までのこる名著だと感じました。
さながら後期のシベリウスやブルックナーに似た透明感がある気がします。
本来は腰をすえて土日にでもゆったり読むべきであって、だーっと右から左に読んでも本来の破壊力は発揮しない類の本なのでしょうね。何年かしたらまた読むことにします
ただ、「生きめやも」の意味はある程度わかった気がします。
文法はさておき、むしろ死を抱えつつも前向きな気持ちを表そうとするものにちがいない。
ここ数日意味不明でずっと気にしていて、高校生に戻った気分でしたわな。いやいや
ところで、
余談ですがブルックナーなんかまさに平常心が必要な作曲家で、腹立ってるときに聴いたり弾いたところで何もいいことないです。やたら長くて音程が微妙で金管が破壊活動そのものでうっとうしいわ。
いい曲なはずなのにねぇ