父が帰宅して、1か月ちょっと経ちました。


徘徊してしまって愛宕署から連絡を受け、夜に迎えに行った事件の後、

ケアマネージャーさんたちと集まって、今後のことを話し合いました。

 

話し合いの時に、

「一日中この家の中で誰とも話もせずに籠っていたら、おかしくもなっちゃうよね」と私が言ったのを聞いて、父は大粒の涙を落としました。

私は、父が泣いたのを初めて見ました…。

やはり、心と痴呆の問題行動とは関連性があるらしい…。

 

その後もたびたび問題は起きました。

 

例えば、朝から何度電話しても出ないので心配していると、

ヘルパーさんから電話があり、

入ろうとしたら、ドアロックがされていて中に入れない。

ドアの隙間から中を覗くと、電気が点いているので、

中で倒れているのではないかと心配になって…と。

電話に出ないのは、またどこかに出かけてしまったからだ

とばかり思っていた私は、慌てました。

急いで消防に安否確認の電話をして、実家に急ぎました。

その後、安否確認をしてくださった消防の方から私の携帯に電話があり、

「お父様、酔って寝ていらっしゃいましたよ(笑)」と…。

搬送先の病院に迎えに行くと、赤い顔をした父は、

「もう、酷い目に遭ったよ…。

 家で寝てたら、いきなり何人もの男の人にわーーーっと取囲まれて、

 台に乗せられて無理やり連れてこられたんだよ…」と。

父の立場からは、そう思うのも当然かもしれませんね(笑)

 

その日は、仕事前に友人のクライマーと登る約束をしていたのですが…

事情を話して約束をキャンセルさせてもらいました。

友人は快く理解してくれました。

久々のクライミングだったのですが…😿

せめて、仕事に間に合うように戻って来れて良かったです。

 

 

退院後初めての定期健診の日。

ヘルパーさんが病院に同行してくださるサービスがあるので、

それを利用しての検診予定でした。

朝、

「今日は病院の日だけど、ヘルパーさんが一緒に行ってくださるから

 家で待っててね!」

と電話。

診察結果を聞くために私も病院に向かいました。

すると、ヘルパーさんから「迎えに行ったけれど家にいない!」と電話が!

ヘルパーさんも周辺を探してくれて、

私も父が良く行く銀行に電話をしたりしたけれど、手掛かりなし。

もう、てんやわんやでした。

仕方なく、私は病院に直行することにして向かっていると、

救急隊の方から電話が!

「娘さんの電話ですか⁉

 お父様が道で仰向けに転んで、近くにいた方から救急要請があり、

 これから搬送します」と。

搬送先は父が持っていた診察券から、これから行くはずの病院となりました。

診察の結果、後頭部に擦り傷があるけれど全く問題はなく、

ついでに受けた定期健診の結果も良好でした。

めでたし、めでたし!

 

後でよくよく話を聞いてみると、

ヘルパーさんのお迎えを家で待っていたのだそうですが、なかなか来ない。

病院の診察時間に間に合うか心配になった父は、診察券を手に病院に向かいました。

緩やかな下り坂の向こうの信号が青に変わるのが見えて焦った父。

急ごうとしたら、ストンと仰向けに転んでしまったそうです。

ヘルパーさんがなかなか来なかったのは、

タクシーで病院に行くつもりだったからなのですが、

父は徒歩とバスで病院に行くつもりだった。

時間の行き違いは、この交通手段の違いで起こったのでした。

 

ヘルパーさんや報告を受けたケアマネージャーの方は

痴呆老人の問題行動として受け取られたようですが、

「痴呆老人」という色眼鏡を外して、

ニュートラルな状態で本人の言い分を聞くと、

父の立場としてはそれなりに理屈が通っていたのだと、私は思いました。

 

「痴呆老人」という「色眼鏡」を掛けたまま接すると、本人に寄り添えない。

その距離感が寂しさを呼び、症状を進行させるのではないかと、

今は考えています。

 

父がなるべく心豊かに生活できるように。

それを心に刻んで寄り添う心で対応していけたら、と思います。