もうかれこれ20年近く、障害のある方の就労支援をしています。
この世界は、自立したい障害のある方と協働することができる、暮らしやすい「まちづくり」を追求しようとしています。このことは、20年前から変わらない概念です。
20年が経ちますが、すべての障害のある方が、世界のどこであろうと普通に働いているとは言えない状況です。就労・雇用は、雇用する側-される側(被雇用側)の思いとは別に、その国や地域の産業に大きくかかわる問題で、同時に人が世の中で生きるための権利であるとともに、その「働き方」は人それぞれ、自由なものです。
就労支援が、「全人格的支援」と呼ばれているのは、「はたらく」ことには、ただ単に収入を得ること以外に、生きがいや喜びをもたらす側面があるためで、こうなると障害があるなしにかかわらず、「労働とは何か」を追求することが必要になる世界です。
私自身は、福祉世界がよく、「働けそうにないかわいそうな人だから、働かなくていいようによくしてあげよう」ってな気分なのが、腹が立っています。私自身はこの仕事に就いた時から、「障害があろうとも、働きたい意志のある方は、我々同様、国税の納税者になっていただき、私たちの仲間に迎え入れよう」と思ってやっています。っていうか、今までその信条でやってきました。これからもそうです。
すいません、前置きが長くなりましたが、そういった気持ちを持って、20年近く、障害当事者の支援を行ってきました。
本人支援は、簡単に言うと次の手順で進めます。
→ ①相談(希望の有無、方向性の把握)
→ ②アセスメント
【状況観察(当事者アセスメント) → 環境観察(環境アセスメント) → 地域リサーチ(希望が成就するかどうかの地域アセスメント)】
→ <<個別支援計画の策定・同意>> ・・・以下の③~⑥までの手順を計画する
→ ③準備指導(本人希望のスキル等を身につけていただく)
→ ④試行的指導(本人希望のシチュエーションで試行的に体験等を行う)
→ ⑤マッチング
【本人が希望する職業と実際に求人希望がある職場とをコーディネイトし、インターンシップを行う等】
→ ⑥フォローアップ(側面支援の必要有無を確認し、継続的に働けるように支援)
→ ⑦フェイドアウト
【本人が自分自身の力で就労継続ができるように余計な支援を取り除いていく】
→ ⑧モニタリング(離れたところから見守る)
本人の希望を素早く理解し、素早いリサーチで、それを解決していくことは、今も昔も変わらぬ掟です。
この本人支援も、20年前と今とでは、ずいぶんスピーディーかつ効果的になってきたと感じています。
例えば、上記の支援手順のうち、①は、基本、対面で行いますが、本人抜きで支援者が独りで走り回ることもあります。
②は、支援者があれこれ調査をしていきます。状況と観察は本人にくっついて、地域は本人から離れて走り回ります。
③、④は基本的に本人にくっついていますが、希望の状況を作るためには、そういった材料や場があるかどうかをリサーチし、合ってなければ移し替える作業をします。ここでは支援者が独り作業をします。
⑤はリサーチが主体です。本人の信用を得るためには、これが最も重要です。俗に言う職場開拓&職場実習の設計(企画・実施)です。
⑥もリサーチですが、鋭い本人状況への観察眼が必要です。⑥と⑦、⑧は支援者としての資質が出ます。働く喜びは本人が持つもので、支援者の独りよがりであってはならないからです。
ここで、お気づきでしょうか?障害当事者支援と言っても、本人といつも一緒ではなく、離れた所から「本人等(家族・周辺支援者等)への確認・判断・関係者間の情報共有すること」や、「地域の諸機関や支援担当者を、本人を中心に計画したリサーチの手順に沿ってマネジメントすること」が必要になってくるんです。
つまり、
① 本人の刻々と変化する要望や現在状況の今(NOW)を、捉えておく。
② 本人を取り巻く支援者同士の動きや、理解度をお互いに理解しておく。
③ マネジメント途上の、支援者・機関のスケジュールやメッセージを素早くとらえ、対象となる本人や周辺者にできるだけ早く伝え、理解してもらい、実施できる状況にする。
これら、ケアマネジメント(地域全体のサービスを駆使し、異なる支援者間連携による、順序だった本人支援)サービスや地域コーディネイト業務を行うには、固定された施設等の建物から出て行くことが必要です。
↓ 上記を踏まえたところで、本日の課題!!
20年前から、その道具の出現で、ものすごく支援のスピード、精度、効果が上がったと思うモノ!
A 携帯電話(特にかつてのPHS→安価で操作のシンプルな携帯)
B パソコン(データーベース、中でもグループウェア。それと月並みですがメール。中でも携帯に転送する機能)
Aについては、そんなものはあっても貧乏の福祉機関は高くて買えなかった。それがだんだん安価になり、当時の施設で自分が初めてケイタイを持たせてくれたんです。それがPHS(ピッチ)でした。出かけたら通信できない、クルマを運転しているとか、田舎で公衆電話が見つからない、付き添いでその場の電話は申し訳なくて使えない。
こんな時、PHS(ピッチ)はまさに支援時間を短縮し、すぐ行動に移れるスグレモノでした。
(また、次のBとかぶりますが、ケイタイ・メールはすごいと感じました。電話は相手が出ないことがありますが、メールは今考えたり思いついたことが、文章にして相手に届けておける。当たり前すぎて笑われてしまわれそうですが、今でも初めて出た時のその衝撃は忘れてません)
今も携帯はそういった視点で使います。遊びで使うなんてとんでもない。繋がりやすく、機能のスピーディーな携帯は、仕事上、絶対必要なアイテムです。
Bは、本人に関する記録と周囲の支援者間での共有です。当事者はもちろん人間なんです。言ってることが次の日には変わったり、支援者によって相性もあり、違うことを言い、支援者も違う指示を出してしまいます。
その時その時の記録が、得たい瞬間にダイレクトに支援者間で共有できる。これが大切で、メールもそうですが、重宝するのは「転送機能」。内容が切り替わったり、誰かに何かの情報が行ったとき、支援者が新たな行動に出た時に、その情報がお知らせとして手元に来る感覚が必要なんです。
特に、設置型のデーターベースは、大阪市のセンター群で独自に開発したものをみんなで使ってます。これは支援記録の塊なんですが、最新情報が常に上に来るようにできていて、かつ更新されると手元の携帯に情報転送されます。これで本人の動きをこちらがつかめずに、支援者連携が取れず、全く違う指示を出してしまうことが防げています。
長々と書きましたが、以上が、「仕事上でのスグレモノ・アイテム」です。
この道具のおかげで、私は自分の仕事に将来を感じましたし、思わぬ発想が素早くできるようになりました。まさに道具のおかげです。
最後に、将来こうなってほしいなと思うことですが、特に思い浮かびません(すいません)。言い訳ですが、上記も、「無かったら無いでやってきたこと」なのです。ですが、道具が仕事を変えたことは事実です。
その時には一生懸命やるしかないので、あれこれ夢想している場合ではなかったんです。
自分にとって、要望が増え、自分自身も効果的に思える支援をやらざるを得なくなった時、イメージがしっかりできてきたら、「新しい道具やシステムが欲しい」って思うのでしょう。今、無いってことは向上心に欠けているのかもしれません。頑張らなければ!
以上です。 拝