くそばばあ | 復刻版

復刻版

栄光より挫折、成功より失敗、勝利より敗北…。

瓜田に履を入れず、
李下に冠を正さず
という諺がある。

疑われるようなことはするな!という意味だ。
でも、疑われることをしてなくても、
たまたまタイミングが悪くて、
濡れ衣を着せられることがある…。

さて、親戚の家からの帰り、
ちょっと喫茶店に寄った。
疲れたので、一服したかったのと、
寒くてトイレが近くなり、
用を足す目的もあった…。

コーヒーを飲みながら、
新聞も一通り目を通すと、
日も暮れて、
ぼちぼち帰ろうと思ったが、
道中は小1時間あり、
念のため、トイレに行くことにした…。

トイレは男女に分かれていたが、
男性用のトイレに入ろうとした時、
そそくさと、慌てふためいて、
小太りのオバサンが出てきた。

突然女性が出てきたので、
女性用と間違えたかなと思って、
戸惑ったが、
マークを改めて確認すると、
確かに男性用のトイレだ。

変なオバサンだな…。と思いつつも、
女性用がふさがっていて
止む無く、男性用に入ったのだろう。
と、善意に解釈しながら、
遅れてトイレに入った。

だが、入るとすぐに嫌悪感をもよおした。
あろうことか、トイレ全体に悪臭が漂っているのだ。
ゆで卵の腐った匂いは、
こんな臭さなのだろうか?
とんでもない硫黄臭だ。

多分、先ほど出てきたオバサンが排泄し、
う○こから発散する匂いが、
室内に充満したのだろうと推測できた…。

私は小の方だったが、
余りにも激烈な臭さに、
鼻では息が出来ず、
口から少しづつ空気を吸入したが、
酸素不足で眩暈をおこしそうになってしまった…。

無性に腹が立った!
一体、何を食べたら、
こんな悪臭になるんだ。
男性トイレでこんな悪臭を放つなんて、
迷惑至極だ!!

こんなことを思いながら、
用を終えて、手洗いの方に行くと、
一人の男性がトイレに入ってきた。

その男性の方を覗うと、
やはり悪臭が気になるのか、
眉を顰めて、キッとした顔つきになり、
その瞬間、私の方を睨んだ。

多分、悪臭の元が、
私だと思っているのだろう。
誤解されるのは不愉快なので、
「出したのは私でない!」
このように訴えたかった…。

でも、弁解をすると、かえって怪しいので、
不本意だが、厳しい視線に耐えながら、
トイレを出た…。
「私は、やっていない!!」
心の中で叫びながら…。

世の中には、冤罪事件が数多くあるが、
無実の人が犯人に仕立てられ、
何年も刑務所に入れられてしまう…。
本当に辛いことだろう。

私も悪臭の根源だと誤解されて、
初めて、冤罪で犯人扱いされた人の、
無念な気持ちが理解できた…。

それにしても…。
男性のトイレで大悪臭の糞して、
その上、人に罪をなすりつけて、
酷いババアだな!!
これぞ本当の、糞ババアだ!と思ったが、
"ババ"には、う○この意味もある。

なら、糞ババアとは、
う○こ、う○こ、ではないか?
なんてジョークが浮かんだが、
不愉快で笑えない…。
憤懣やるかたない思いで店を後にした…。