「PVができました」

 

 との報せを受けて3人が集まったのは、さまぁ〜ずチャンネルの収録をしている部屋。カメラが数台設置されて、椅子が3つ並んでいます。

 

 その2週間ほど前に行われたPV撮影は、カーディガンのような優しい素材の生地を羽織った男たちが、一人ずつカメラの前に立ったり、みんなで談笑したり。順調に撮影が進む中、末っ子の僕がとあるものを手にして二人を呼びます。

 

「お渡ししたいものがあるのですが」

 

若干戸惑う三村さんと大竹さんに渡したのは、家で作成してきたCDR。盤面には、「ボサノバ・バージョン」と記してあります。

 

「すみません、勝手に作ってしまいました」

 

 レコーディングした余熱でもう一曲、「夏も冬も」のボサノバ・アレンジを作成しておいたのです。ボサノバと言うと、何かとお二人が恐れを抱いているのが印象的だったので、その恐怖心を払拭したい、ボサノバを好きになって欲しい、それがプロデューサーのもう一つの役目だと思っていたのです。

 

「じゃぁ、これも配信しちゃおうか!」

 

 その場で聴くことになり、二人が気に入ってくれたらそんなこともあるかとどこかで期待もしていましたが、オリジナルと同時発売することになりました。

 

 オリジナルが冬っぽい音なら、ボサノバ・バージョンは夏っぽい音。まさしく、夏も冬も聴いてもらうための2バージョンです。

 

 配信が決まったので、ギターやマラカスなどを手にして、ボサノバ・バージョン用のジャケット撮影。まるで自分たちが楽器を演奏しているかのようです。

 

 それからPVの完成を楽しみに待つこと2週間。3人の前でカウントダウンが始まると、「夏も冬も」の記念すべきPVが流れ始めました。

 

「家でお酒飲みながらだったら、ウルウルしたかもしれないです」

 

 そこには、等身大の3人の姿がありました。53歳の三村さんと大竹さんと、46歳の僕の日常がありました。詩と曲にぴったりで、素敵な時間が流れるミュージック・クリップでした。

 

「一応、ボサノバ・バージョンもあるんですけど」

 

 さらに、レコーディング風景を編集して、ボサノバ・バージョンも動画になっていました。実際は、オリジナル用にしかレコーディングしていないのに、まるでボサノバのリズムに合わせてみんなが歌っているみたいで、とても面白いです。

 

 新潮社の取材終わりで突撃されたのが11月。ようやく、来週17日に配信されます。オリジナルとボサノバ・バージョンの同時発売。PVが当日の19時にYOUTUBEでアップされるそうなので、早く聴きたい方は、日付が変わってからダウンロード可能だと思うので、ぜひ聴いてみてください。配信ジャケットも、とても素敵なので。

 

「ところで、プロモーションはするんですか?」

 

 僕からの問いに慌てるスタッフたち。そんな呑気な感じがとてもいいと思います。ういんたぁ〜すの「夏も冬も」。ぜひ、夏も冬も、春も秋も、聴いてくださいね。めぐる季節を彩る一曲になることを願っています。