今年も無事に誕生日を迎えることができました。例年であれば、音楽イベントで乾杯をしていましたが、静かに迎えるのも嫌いではありません。

 

 四捨五入なら45、しかし、印象としては46歳からアラフィフ。ぼーっとしていたらすぐに50歳になるのでしょう。子供の頃は自分がこんな感じの中年になるとは思っておらず、もう少し渋さを兼ね備えていると思っていました。私は、外見に気を使いすぎている男というのはどうも抵抗があり、ましてや「ダンディー」という言葉は絶対言われたくありません。心配ないとは思いますが。かと言って、いわゆる昭和によく見かけた中年男性にはなりたくない。どうしたらいい感じのアラフィフになれるのでしょうか。もう、ふわふわのジェラート・ピケで身を纏うわけにいかないでしょう。娘にプレゼントされてよくわからず着るならまだしも、能動的なピケフィフは流石に痛いかもしれません。

 

 アラフィフらしさといえば、お酒を嗜むようになったこと。もちろん、これまでも愛飲してきましたが、ようやく板についてきたというか、「嗜む」感が増してきた気がします。考えてみれば、初めて家で飲むお酒として買ったのはカシスだったと思います。20代。お店で飲んで美味しかったので自宅でも飲みたいと買ってはみたものの、これが全然美味しくない。烏龍茶を混ぜるだけなのに。やはりカシス・ウーロンとペペロンチーノはお店でいただくものだと学びました。

 

 数年前に出会った「獺祭」を皮切りに日本酒を飲むようになると、仕事の帰りにハンドルを握りながら、今日は何にしようかと想像する時間が生まれました。また、「鍛高譚」と言う紫蘇焼酎が焼酎の入り口でしたが、そこから裾野も広がり、最近よく飲むのは、「鳥飼」と言う焼酎。これは以前、三宿にあった熊本のお店のご主人から誕生日に頂いたもので、徐々に体に馴染んでいきました。「吟香」と書いてあるだけあって、氷を入れて飲むとフルーティーな香りが鼻を覆い、幸せな気分になれます。

 

 鳥飼は、熊本の地名で、今年は甚大な被害に見舞われた場所。こうした美味しいお酒も、自然環境で長年培ったもので、簡単にできるものではありません。飲むことで微力ながら、復興へのエールになればと思っています。

 

 時折足を運ぶ歯医者さんの院長はお酒が好きで、院長室には高級なウイスキーが並んでいます。もちろん依存症ではありません。薄いグラスに氷を浮かべてウイスキーなどを飲み出したらアラフィフっぽさが出るかもしれません。

 

 20歳の誕生日に芸能界の門を叩いてから26年。景色も大きく変わってきましたが、そんな中で、お笑いライブに出ていた頃の顔ぶれも同様に年を取り、時々テレビ局などで会うと、あの頃の面影が重なり、感慨深いものがあります。

 

 そういえば先日、久しぶりにさまぁ〜ずさんの番組に呼ばれたのですが、最近の司会やコメンテーターとは違うスタンスのものだったので、懐かしさもあり、バラエティーの楽しさを実感しました。全員アラフィフ。20代のころは、面白いおじさんになりたいと思っていましたが、それは計算ではなく、滲み出る味への憧れだったのかもしれません。焼酎のように熟成され、私は、「鳥飼」のような、芳醇でフルーティーな男になれたらと思います。

 

 日常の変化を余儀なくされ、今年は大きな節目の年となりました。クラブ・イベントも、DJブースに立てないことは非常に残念ですが、いつまで続けるかわからなかったので、自分で決めずに済んだことに、どこかホッとしている部分もあります。収束するまでみんなで乾杯はできませんが、家でゆっくり美味しいお酒を飲みたいと思います。いま、自分を取り巻く景色を堪能しながら。