「この春、きらクラ!は終わります」

 

 前回の放送でお伝えした通り、NHK-FM「きらクラ!」はこの春で終了となります。早いもので、8年続けてきたことになりますが、心の和む、とても楽しい番組でした。

 

 タクシーの運転手さんや、意外な共演者の方から「きらクラ!聴いています!」という声を度々聞くようになりました。「ひるおび!」でも、本番中に政治や経済について難しい話をしている専門家の方も、終わったら「ラジオ聴いていますよ!」と笑顔で話してくることも。その度に、たくさんの方の日常を彩っている番組だと実感しました。

 

 きらクラ!で、たくさんの出会いがありました。音楽との出会い。音楽室に飾られていない音楽家たちと、彼らの楽曲。まだまだ知らないものもありますが、番組のおかげでこれまで知らなかった素敵な音に出会えました。

 

 きらクラ!で、たくさんのリスナーさんに出会えました。イラスト付きのハガキを送ってくれたり、毎年クリスマスになるとシュトレンを送ってくださったり。この場所に集まる言葉は、単に音楽への愛情だけではなく、家族の繋がりや、季節の移ろいを感じさせてくれる、様々な音色が集まって、ひとつのハーモニーを奏でていました。

 

 スタッフにも恵まれました。毎週毎週、まるで料亭の板前さんがいい食材で調理するように、数多ある曲の中から季節に見合った曲を選び、準備をしてくれました。きらクラ!でたくさんの詩にも出会いました。松本隆さんや小沢健二さんをはじめ、普段お会いできないゲストの方にも。

 

 そして何と言っても、遠藤真理さんです。この番組がなかったら出会わずにいたかもしれません。こんなに相性のいい方がこの世に存在したとは。しかも、あの笑い声。真理さんの笑い声がなければ、きらクラ!じゃないと言ってもいいくらい、番組を明るく華やかにしてくれる音です。真理さんが、私という楽器を奏で、私は、真理さんという楽器を奏で。産休中にたくさんの方と番組を進行したことも貴重な経験です。

 

「もう、2年前のことなんですね」

 

 番組終了のお知らせのあとの「ブラジル」は、私からのリクエストでした。公開収録で演奏したあの一曲に、「きらクラ!」の音が詰まっていたからです。

 

 「BGM選手権」から「たのもう!」まで、これほど楽しいクラシック番組に携われたこと、みんなで奏でるハーモニーを構成する一つの音になれたこと、本当に感謝しています。年々、いい意味で「きらクラ!らしさ」を保っていたので、このまま10年、20年と続けば、発酵して、さらに味わい深いものになるだろうと思っていました。毎週毎週全国からお便りが届き、これだけたくさんの人に愛されているのに、どうしてという気持ちもあります。でもやはり、たくさんの出会いをくれたことへの感謝の気持ちが一番大きいです。ありがとう、きらクラ!。あと数回ではありますが、最後の最後まで「きらクラ!」でいたいと思っていますので、どうぞお付き合いくださいね。