「あれ?お疲れさま!」

 

 羽田発岡山行き。機内に乗り込むと、隣の席にサンドウィッチマンの伊達くんが座っていました。こちらがラジオの公開収録であることを伝えると、彼は地方ライブ、いわゆる営業とのことで、周りには相方の富澤くんをはじめ、ピン芸人の永野くん、茨城芸人のカミナリの顔もありました。

 

「忙しそうだね〜」

 

 つい先日も、山中で汗水流してロケをしている番組を見たばかり。普段あまり顔を合わせなくても、同業者としてのつながりからか、労をねぎらいたくなるのです。

 

「クワバタオハラのネタ、すごい好きなんだよ!」

 

 永野くんの「ラッセンが好き〜」に次ぐ渾身のネタ。「クワバタオハラおったらそこはもう大阪や」。このネタが大好きで、いつか本人に伝えたいと思っていました。

 

「あれは、すごい発明だよ!」

 

 飛行機でタレントさんにお会いすることは珍しくないですが、あまりにバラエティーな顔ぶれに、まるで遠足のバスのようにはしゃぎたくなってしまいます。しかし、寝る時間を奪ってはいけまいと、なんとなくキリのいいところでiPadを取り出し、イヤフォンを装着しました。

 

「日帰りなら、帰りも同じ便かもしれないですね」

 

 岡山に到着すると、空港からそれぞれの現場に向かいます。僕は「きらクラ!」の収録で美作、彼らは岡山市内へ。

 

「いいキャラの人がいましたね」

 

 無事、公開収録を終え、徐々に薄暗くなってゆく景色を眺めながら、空港に戻ります。

 

「ちょっとラーメンでも行きますか」

 

 番組で共演した、ザ・レヴ・サクソフォン・カルテットの皆さんと空港のラーメンを堪能し、搭乗の時間となりました。

 

「キンコーン」

 

 搭乗ゲートで赤いランプが点灯します。

 

「あれ?なんでだろう」

 

 スタッフが何度もバーコードをあててみます。

 

「どうしたんすか?」

 

 背後から心配する声。朝の機内で遭遇したメンバーが嬉しそうに見ています。

 

「もしかして、飛行機今日が初めてですか?」

 

 バラエティーのやりとりが始まります。機内に入ると、今度は永野くんが隣でした。

 

「どうする?話す?」

 

「話しますか?」

 

「よし、話そう!」

 

iPadとイヤホンをカバンの中にしまい、荷物入れに放り込みました。

 

「じゃぁ飲んじゃっていいすか、飲みます?」

 

「いいよいいよ、飲んじゃって!」

 

 彼はビール、僕は羽田から運転なのでりんごジュース。「クワバタオハラ」ネタのどこが素晴らしいのか。これまでの歩み。面白いものと面白くないものの違い。最終的にお互いを褒め合う帰りの機内。隣では、伊達くんが眠っています。

 

「うちらみんな同い年じゃないですか?」

 

 後ろにいたサンドウィッチマンの富澤くんの声。あまり気にしないでいましたが、僕とサンドウィッチマンの二人、そして永野くんは皆1974年生まれで同級生だったのです。

 

「じゃぁ、お疲れ様でした!」

 

 まるで同じ仕事をしてきたような気持ちで彼らと別れました。若手の頃は接点があっても、徐々にそれぞれの立場が変わり、顔を合わせる機会も減ってきたりしますが、どこかでみな、讃え合っているのです。久しぶりに感じたバラエティーの空気。ボーイング1974は、とても楽しいフライトでした。