リハーサル中にふと聞こえてきた言葉にハッとしました。「ロケットマンのテーマ」を作詞したのはもう20年近く前。ラジオ番組で毎週流していてもあまり気にならなかったのに。新しい元号、その始まりの日にふと流れたとき、曲の最後の言葉が、心の奥の方に突き刺さります。

 

「新しい、僕らの時代」

 

 とりわけ深い意味もなく綴った言葉。それが妙にしっくり来たのです。 

 

 今回、開催日を決めるにあたって劇場に問い合わせてみたところ、同じ5月でもいくつか候補がありましたが、その中で改元の日となる1日がひときわ輝いていました。

 

「ここでやってしまおう!」

 

 ふさわしいのかふさわしくないのか、歴史的な日にできることの価値。これなら一生忘れない。さっそく予約をし、券売もしたものの、前日の退位の儀などをテレビ越しに眺めていると、本当にこの日でいいのだろうかと、一抹の不安さえ抱き始めました。しかし、歌詞が耳に入ってきたとき、なんていうか、自然のサイクルと、自分のサイクルの足並みが揃ったような気がしたのです。

 

「今日でよかったんだ」

 

 いや、今日しかなかった。リハーサルを終えた時には、もう胸を張ってステージに出られるという気持ちになっていました。

 

「中年の男二人がイチャイチャしているだけですからね」

 

 幕が上がり、始まってみれば、まるで久しぶりに再開する恋人たちのよう。特に女性の方が彼に色々報告するように、次から次へと言葉が溢れていきます。

 

「これってすごくない?」

 

「私、間違ってないよね?」

 

「そういえば、痴漢に遭ったの!」

 

「ねぇ、ツーリングに連れってよ!」

 

 深夜のファミレスのような、とりとめのない話にも花が咲き、気がつけば2時間が経とうとしています。

 

「じゃぁ、そろそろ終わりにしましょうか」

 

 久しぶりに再会し、彼女は清々しい表情で彼を送り出しました。これは、令和の彦星と織姫でしょうか。

 

「令和元年、5月1日。今日、皆さんにお会いできて本当に良かったです」

 

 およそ、3年ぶりの劇場版ロケットマンショー。番組としてのロケットマンショーが終わって数年。こうしてまた集うことができたこと。新しい時代とともに幕を開けた日。ミラーボールがまた回り出しました。