見間違えでも、打ち間違えでもありません。アイルランドです。iPadを購入してからの変化の一つとしては、映画を観る頻度が高くなったことが挙げられます。定額制サービスの映画サイトには、ほとんど好きな映画がなく、正直、いつ解約してもいい状態でした。しかし、観たい映画ではなく、知らない映画を観ようと何度かトライしていくうちに、とてもいい映画に出会いました。

 

「はじまりの唄」「シング・ストリート」「ONCE〜ダブリンの街角で〜」

 

 すでに観ている方もいると思います。今あげた作品は、どれもジョン・カーニーという監督の作品で、音楽映画3部作と呼ばれているそうです。監督はもともと、ミュージシャンだったこともあり、音の使い方が非常に巧みで、ミュージカル映画といってもいいくらいたくさんの歌が劇中に流れ、心情がすーっと伝わってきます。

 

 どの作品も、男女の間にある揺れ動く想いや距離を歌で表現しているのですが、曲は劇中でなくても素晴らしいものばかり。中でも、「シング・ストリート」は、登場人物の若さゆえか、アイルランド版スクールオブロックとでもいいましょうか、駆け抜けるバンド・サウンドが爽快なのです。

 

 また、劇中に登場するテープ・レコーダーや公衆電話。そして、舞台となっているアイルランドの街並み。ダブリンが中心なのかもしれませんが、いわゆるヨーロッパの街並みとも違う穏やかな雰囲気は、ギターの音色と調和し、スクリーンの中に誘われるのです。

 お団子のように、3つの作品を一気に見てしまうと、すっかりアイルランドに魅了され、他の作品も観たくなります。

 

「君だってかわいくないよ」

 

 4番目に出会ったこの映画は、小生意気な女の子とその叔父との話なのですが、のどかなアイルランドの風景の中で繰り広げられる、大人と子供の言葉の掛け合いが絶妙で、口が悪いのに美しいハーモニーを奏でています。前述の3部作に比べればその比重は高くないかもしれませんが、劇中に流れる音も素敵で、優しい光のように、作品全体を包み込んでいます。非常に大好きな映画が、アイルランドにたくさんありました。映画を通して出会った、アイルランド。

 

 こうして僕は、アイルランドへのチケットを手に入れました。有効期限はありません。それがいつになるかはわかりませんが、必ず訪れるでしょう。本や映画、音楽が人生に与える影響は大きいもの。アイルランドの光をぜひ。

 

 

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