「CMをまたぐ」

もともと番組を制作する側の表現でしたが、

お茶の間でも耳にしていると思います。

実際、ドラマやバラエティーでも、

いいところで急にCMに突入し、待たされる流れは、

いまや当たり前になってしまいました。

番組は、視聴率を下げたくないですし、

CMでチャンネルを変えられるわけにいかない。

結論にたどり着く前にCMにいけば、

その先が気になって、たとえCM中にザッピングをしたとしても、

また、戻ってきます。

だから、CMをまたぐ、というのは、

視聴率を下げないための欠かせない手段なのです。


しかし、またいではいけないものが、ひとつあります。

それは、命です。

いのちを、またいではいけないのです。



氾濫した濁流のなかで孤立する人が、このあとどうなったのか。

このタイミングでCMにいくことは、

その関心を利用している、つまり、

いのちを、軽視・粗末にしていることと同じなのです。


カエルを膨らませて死なせる映像を流したところで、

いのちを粗末にしていることにはなりません。



「いのちを、軽く扱うことが、いのちを粗末にしていること」



なのです。


もちろん、ドラマや、緊急事態の場合は構いません。

あの頃を振り返るVTR、実際の映像など、

たとえ、その人が助かっているとしても、

人間の生死を、視聴率を稼ぐ材料にすることは、

メディアのあるべき姿ではないのです。



いのちの大切さを伝えたいのなら、

いのちを、またがないでほしい。



僕は、そういう価値観で、

テレビのなかにいます。