我ながらよく続けたなぁというのが率直な感想。15年ですよ、15年。月一回とはいえ、休むことなく毎月毎月あの空間によくもまぁ真面目に足を運んだものです。25歳だったDJも、いまでは40歳。かつてはTシャツを脱いでいた汗だくDJも、いつのまにやら制汗DJ。メンバー皆、正真正銘のおっさんになりました。

 15年は決して短いものではないけれど、さほど大変だった印象はありません。眠気が強くなってきたり、それなりの持久力は必要かもしれませんが、仕事という感覚や義務感もなく、限りなく趣味に近いので、ストレスどころか、ここで月一回イベントを行うことが、日々のサイクルを円滑にしていました。DJをすることが、僕のからだを動かす小さな歯車として動き、全体の活動にほどよく影響を与えているような。

 いまさらではありますが、きっかけは、DJをしたいというよりも、曲をつくりたいという気持ちでした。かけることではなく、自分の音楽を作ること。作曲という歯車を回転させるために、もうひとつの歯車として、DJという歯車を設置したのです。いちいちこういうことを考えてしまうあたりが僕らしいのですが。

 「ロケットマン」でユニットを組んだ元ピチカートファイブの小西さんのイベントを見に行ったのがまさしくこの三宿webで、いまでもDJする以外はクラブに遊びにいったことのない僕が、はじめて体験したクラブでもあります。雛は、初めて見たものを親だと思うと言いますが、はじめてのクラブイベントが小西さんであり、この空間でよかったのだと思います。

 そうして立ち上げたロケットマンデラックス。集まったDJメンバーとの相性もよかったのでしょう。僕みたいな、乙女で面倒臭い人間はなかなか扱いにくいものですが、彼らは絶妙な距離感で接してくれました。たまに地方遠征などもあったものの、基本は月に一度だけ集まる感じ。普段それぞれに仕事があって、なにをしているのかはよく知らないけれど、音楽で繋がっている関係。バンドを組むとなると破綻していたかもしれませんが、DJ仲間という距離感が心地よかったのだと思います。

 15年ですから、いろいろなことがありました。地方にいけば、ちやほやもされれば、ものを投げられたり喧嘩を売られたり。そんななかで、この三宿webという場所は、比較的穏やかで、こじんまりしていて、ホームパーティーのような雰囲気。ちなみに数年前から禁煙でやっています。普段お酒を飲まない僕が、月に一度だけ酔っ払う場所。それが、三宿webなのです。

 この長い橋を支えるものはいろいろとありますが、なんだかんだいったって、好きじゃないとできません。音楽に対する気持ち、これがなければとっくにやめていました。その気持ちは、DJイベントだけでなく、僕の人生という橋さえも支えているもの。大きな橋脚。歯車をうごかす燃料のようなものでしょうか。この燃料が、いつまでたってもあふれてくるのです。いったいどこに眠っているのか。好きというよりも、必要という感じ。もはや病的なものさえ感じてしまうのですが。おそらく音楽は、僕自身なのでしょう。僕はここにいる、僕は生きているというものを、曲を作ることで実感しているのかもしれません。

 すっかりお腹もでてきましたが、いまはいまで、格好いいDJチームだと思っています。時代に流されず、自分たちの好きな音楽をかけ続けてきたこと。フロアにお客さんがいようがいまいが、好きなレコードをまわしてきたこと。だから、いままで続けてこられたのだと思います。

 ロケットマンデラックス15周年アニバーサリー。もちろん、これまで来てくれたみなさんにも支えてもらいました。まだ訪れたことのない人も、以前よく来ていたひとも、ぜひ乾杯しに来てください。17日は23時から、カシスウーロンを飲みながらのんびり曲をかけています。