当院では上下総義歯の新製や旧義歯調整は河原英雄先生御考案のリマウントテクニックを採用しています。
この症例も他院で、同じ方法で数ヶ月前に作成された義歯でした。
病院が遠方のため紹介で来られた方でしたが、若干の下顎義歯の浮き上がりや咬みにくさがあるようでした。
義歯自体はすごく上手に作られており、咬合状態もチェアサイドに見る限り問題ないように思えました。
こんな時は、チェアサイドで闇雲に調整するよりも一度預かり咬合器に戻してみるのが一番です!!
するとセントリックバイトでとるとこれだけ誤差があります。
これを翌朝、患者さんが取りに来られる前に調整します(汗)
フードテストの様子は載せられませんが、第一声は「噛み合わせが自然な感じ♪」
そして「噛み合わせが奥にいったような感じ」との感想でした。
おそらく前々医で作られた義歯が経年劣化もあったのか、いい状態ではなかったのだと思います。
前医の先生の義歯は非常に精巧に作られていたので、その義歯の使用がリハビリ効果を発揮し、
数ヶ月使用した間に、さらにもっと本来の顎位に自然と戻ってきたのだと思います。
ですので、わざわざ義歯をまた作り直さなくても、正しい位置でセントリックバイトを取り直して、
そこで調整すれば、十分使える義歯として蘇るんだと感じた症例でした。
義歯は作れば数週間かかりますが、この手法を駆使すれば数時間の預かりで返せるので
1つのテクニックとして習得しとくことをお勧めします。