1960年、大学卒業後はニューヨークへ移って、『ヴォーグ』や『ハーパース・バザー』等の雑誌広告やイラストで知られていた彼は、イラストレーションの世界を捨てて、ファインアートの世界へと移っていき、『バットマン』や『スーパーマン』といったコミックをモチーフに一連の作品を制作しますが、契約していたギャラリーで、同様にアメリカン・コミックをモチーフに一世を風靡したロイ・リキテンスタインのポップイラストレーションの作品に触れて以降は、この主題から手を引いてしまいます。

1961年、身近にあったキャンベル・スープの缶やドル紙幣をモチーフにシルクスクリーンを多用した作品を描いた彼は、1964年には“ファクトリー”と呼ばれるスタジオを構えるのでした。

そんなわけで、今日の一枚はこちら↓
[DISC1]
M1:日曜の朝
M2:毛皮のヴィーナス
M3:チェルシー・ガールズ
M4:ジーズ・デイズ
M5:ハート・オブ・グラス
M6:スウィート・アンド・ロウ
M7:ドライヴ
M8:ワイルドサイドを歩け
M9:ライク・ア・ローリング・ストーン
M10:シスター・モーフィン
M11:オープン・ハウス
M12:クール・マック・ダディ
M13:A TRIBUTE TO N.J.P.

[DISC2]
M14:リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ
M15:サンシャイン・スーパーマン
M16:テイク・グッド・ケア・オブ・マイ・ベイビー
M17:ノー・ホエア・トゥ・ラン
M18:シャウト
M19:いとしのリンダ
M20:バレエ音楽『ペトルーシュカ』〜第4場「謝肉祭の市場 (夕方)」
M21:ミサ曲ハ長調 K.317『戴冠式ミサ』〜第4曲「サンクトゥス」
M22:歌劇『椿姫』第3幕〜アリア「さよなら、過ぎた日の美しく楽しい夢よ」
M23:歌劇『魔笛』K.620 第2幕〜アリア「復讐の心は地獄の炎と燃え」
M24:『世の終わりのための四重奏曲』〜第5楽章「イエスの永遠性への賛歌」

2019年に発表された、彼に関わるアーティストの楽曲を集大成したコンピレーション・アルバム、『アンディ・ウォーホルと音楽』です。

このアルバムは、ピッツバーグにあるウォーホル美術館でも販売されている公式商品で、この年に開催されたアンディ・ウォーホル大回顧展“アンディ・ウォーホル・キョウト”展と連動した公式コンピレーション・アルバムでもあります。

DISC1は、“ザ・ファクトリーと仲間たち”と題して、彼と縁の深いミュージシャンの楽曲が収録されていて、DISC2は、“ザ・ファクトリーに流れる音楽”と題して、ポップスからクラシックまでジャンルレスで収録されていて、創作現場の雰囲気を再現しています。

1970年代からは、社交界からの依頼を受けて、ポートレイトのシルクスクリーンプリントを多数制作し、1972年には、ニクソン大統領の訪中に合わせて毛沢東のポートレイトを制作しました。
因みに、デニス・ホッパーが銃弾を2発撃ち込んで穴を開けた毛沢東の肖像画は、2011年にクリスティーズで競売にかけられて30万2,500ドルで落札されています。

また、1980年代に入ると、災害や神話をモチーフとした一連の作品を作成して、1986年に制作したレーニンのポートレイトなどが彼の最後の作品となりました。

1987年の今日、彼は死去しましたが、このアルバムは、生前の彼の創作風景を思い描きながら聴いてもらいたい一枚です。