15歳のときに黒人学生のピアノコンクールで優秀な成績を収めた彼女は、ハワード大学に進学してクラシックや声楽を学びます。

卒業後は、音楽教師やナイトクラブでピアノ演奏をしながらキャリアを積んでいった彼女は、1969年にデビュー・アルバムを発表しますが、このアルバムに収録されていた楽曲が、1971年に公開された映画『恐怖のメロディ』に使用され、翌年にシングルカットされると、6週連続全米1位を獲得する大ヒットとなり、この年の年間チャートでも1位を獲得するのでした。

そんなわけで、今日の一枚はこちら↓
M1:やさしく歌って
M2:我が心のジェシ
M3:ノー・ティアーズ
M4:少女
M5:リヴァー
M6:愛の語らい
M7:君ほほえむ時
M8:スザンヌ

1973年に発表された、全米3位を記録した彼女の5thアルバム、ロバータ・フラックの『やさしく歌って』です。

ソロ名義としては4作目にあたるこのアルバムは、アトランティックの専属プロデューサーである、ジョエル・ドーンのプロデュースによるもので、クレジットには、盲目のジャズ管楽器奏者“ラサーン・ローランド・カークに捧げる”
と記載されています。
このアルバムは、全米R&Bチャートでも2位を記録して、全英では40位、日本ではオリコン最高位16位に達して、38週にわたってチャートインするロングセラーとなりました。

先行シングルとしてリリースされたM1(c/wはアルバム未収録)は、オリジナルは彼女ではなく、前年にリリースされたロイ・リーバーマンによるもので、飛行機の機内BGMとして採用されていたこの曲を、彼女が偶然聴いて気に入って歌った彼女のヴァージョンが大ヒットとなり、全米ではリリースから4週間で全米1位、2月24日から4週連続1位を達成すると、3月31日には再び1位に返り咲きました。
また、カナダでも1位を獲得して、全英では6位を記録しています。

続いてアルバムからシングルカットされた、ジャニス・イアンのカヴァーのM2(c/wはM3)は全米30位を記録、全米アダルト・コンテンポラリーチャートでは3位を記録しました。

現在は、筋萎縮性側索硬化症に罹患して闘病中で、会話することも困難になっている彼女ですが、彼女の魅力が詰まったこのアルバムは、ネスカフェでも飲みながらじっくり聴いていたい一枚です。