「最近は色々」と言っても、私個人に何かあったという訳ではなく、「最近」を表す副詞には様々なものがあるという話です。いや、「前」というのも実はagoやbeforeのことでして。

文法編の時制解説も終わりに近づいてきたことですし、今回この語法編では、時制と関わりの深い副詞の使い分けについてまとめてみようと思います。

 

「最近」を表す副詞は、現在時制との関係に注目して整理するとシンプルです。私たちが普段日本語で「最近・近頃」というときには、今が含まれている感じがすると思います。しかし、英語では普通、recentlyやlatelyを現在時制で用いることはなく、nowadaysやthese daysを使います。反対に現在時制以外では、nowadaysやthese daysを使うことはなく、recentlyやlatelyを使うのが普通です。

 

  例文1

   Nowadays/These days it is hard to go abroad.  

   Recently/Lately it has been hard to go abroad.

   「最近は海外に行きにくい」

 

最近はコロナウイルスのせいで、国内の移動さえしづらくなってしまいました。昨年度までは私も週に一度は新幹線で移動して講義をしていたのですが…。

次は、そんな「前」のことを表す副詞をまとめていきましょう。

 

agoとbeforeはどちらも「前」のことを表す言葉ですが、使い分けが必要です。agoは「今より前」の意味で過去を表し、現在完了で用いることはできません。「今より」ですから、今は含まれない訳です。

一方beforeは「(あるときを基準として)それ以前」の意味ですので、完了時制との相性がよくなります。「今以前」であれば今も含まれますよね。1よりというと1が含まれず、1以上と言えば1が含まれるのと同じです。

 

  例文2

   I sold the car three years ago, which I had bought four years before.  

   「3年前に車を売ったのだが、それはその4年前に買ったものだった」

 

上の例文2のようにagoは必ず期間を表す語句を伴いますが、beforeは漠然と「以前に」の意味で単独での使用も可能です(例文3)。

 

  例文3

   I have seen that movie before.  

   「その映画を以前見たことがある」

 

ポイントをまとめると以下のようになります。

 

最後に上記以外で出題頻度の高い副詞をいくつか挙げておきます。

just nowは「たった今」の意味で過去形を選ばせる文法問題に出てくることが多いですが、「ちょうど今」の意味で現在形で使うこともできますし、未来を表すこともあります。また、あまり知られていませんが、have just now Vp.p.の型であれば、現在完了での使用も可能です。否定文にしたときのnotの位置にjust nowを置くこの型であれば使えます。

他には、sinceに前置詞や接続詞だけでなく、副詞の用法もあること、そしてso farが「これまでのところ」の意味で現在完了で用いられることが多いことを覚えておくと良いでしょう。

 

最重要語法35講 第6講に続く)

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