ステロイド療法のアップデートのセミナーにいきました | 人間より動物好き 獣医師シワ男

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埼玉県新座市のふじわら動物病院、院長藤原です。
ペットが幸せになるためには、飼主さんが幸せになる必要があると思っていて、
まずは飼主さんが幸せになることでペットも幸せになるような診療を心がけています。
サ論代理店

先日、ステロイド治療のアップデートのセミナーに行きました。

帝国ホテルでおこなわれたのですが、1000人近い先生方が

お越しになっていました。

参加人数の多さにびっくりしました。

 

日頃、ステロイドを治療として使うことがあるのですが、

皆さんもご存じの通り、ステロイドは副作用があるため

安易に使ってもいい薬ではないことは確かです。

 

ステロイドを使う場合、「なぜステロイドを使うのか」を

自問自答しステロイドではないといけないのか、

今、使う必要があるのか、しっかり考える必要があります。

 

病気の状態、副作用、他の薬物での代用はないのか、

他の治療はないのかなどなど・・・

それでもステロイドの必要性があれば

止むを得ずステロイドを使うことにしています。

ステロイドを使わないで治療できるのであれば

それに越したことはないですね。

 

アップデートとして新しい情報もありました。

今まで、急性脊髄疾患たとえば椎間板ヘルニアなどのとき

ステロイドを使う場合があったのですが、椎間板ヘルニアでは、

ステロイドを使った場合と使わなかった場合では

手術後の歩行可能になるまでの時間に差はなかった

というデーターが出ていました。

また、高容量のステロイドでは病態を悪化させたり、

深刻な副反応をおこすというデーターも出ていました。

そこで結論としては、急性精髄損傷では

ステロイドを使う理由はないという結論でした。

自分としては近年椎間板ヘルニアでは、

ステロイドを使わないようにしていましたが

このセミナーで正しかったことが証明されて

自分に間違いがなかったことを確信しました。

 

また、頭部外傷時にステロイドを使う方がよいのか

使わない方がいいのかということも前から議論されていて

使った方がよいというときと使わない方がよいというとき

がありました。

先日のセミナーでは、頭部外傷時には血糖値が高くなり

その血糖値が高くなることにより、神経の損傷が起こる

ことが指摘されていました。

ステロイドは高血糖を促す作用があるため、

頭部外傷時には神経学的損傷を起こす原因となるため

推奨されないと報告がありました。

頭部外傷時はショックもあり、ステロイドを使うか

使わないか迷うときがあるのですが、これで

ステロイドを使わないで治療することができます。

 

医療は日進月歩で変化し、昨日までいいとされていたものが

今日から良くないというものもたくさんあります。

動物の為、患者様の為にどうすることが一番いいことなのか

日々、勉強、検討し最善の治療を提供する努力をしていく

必要があると再確認しました。




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