仕事帰り。歩道は銀杏の落ち葉が積り、歩くとフワッと柔らかく、サクッと音がする。
歩道に埋め込まれたライトに下から照らされた落ち葉も綺麗だ。
さて、あるバスの中での会話だ。
初老の女性が座っている。
近くに、大きいトランクを持った青年が立っている。
女性「あなた、大荷物で疲れているでしょう。座ったら?」
青年「ありがとうございます。それでは」と座る。
女性「あなた、どこから来たの」
青年「九州です」
(まあ、九州から…と周囲の乗客も興味をひかれた気配がする)
女性「まあ。こちらへは初めて?」
青年「はい。初めてです。仕事で」
女性「もしかして、○芝?」
青年「はい」
女性「大変ねぇ。上の人が悪いんだからね。あなたは悪くないんだから」
青年「…」
バスの中は、なんとも言えない気まずい雰囲気になった。
初老の女性も何か感じたのか、ばつが悪そうにその後は黙っていた。
どこまでが思いやりで、どこからが…