腰椎椎間板ヘルニアといえば、強烈な腰痛と下肢のしびれをイメージする方が多いと思います。
実は椎間板ヘルニアが引き起こす腰痛は腰痛全体の4~5%と少数で、さらに飛び出した椎間板は3ヶ月以内に自然に吸収される事が多いため、ほぼ手術の必要はありません。
我々の体は免疫機能があり椎間板ヘルニアになっても、白血球のマクロファージ等の貪食細胞が、飛び出した部分を食べて小さくしてくれます。その期間はおおよそ3ヶ月です。
また、腰痛が全くない人を集めてMRIを撮ってみると、結構な確率で椎間板ヘルニアが見つかるという興味深い研究があります。

1994年『the new England journal of medicine』で報告されたMaureen C Jensenらの研究です。
腰痛のない20~80歳の男女98人の腰をMRI撮像したところ、椎間板に異常がなかった人は全体の36%しかおらず、52%に椎間板の膨らみが見つかり、27%に椎間板の突出、1%は髄核が突出していた、という事です。

また、1995年『spine』で報告されvolvo賞を受賞したBoos Norbertらの研究では、46人の椎間板ヘルニア患者と年齢、性別、職業を一致させた46名の健常者の腰部MRI画像を、内容を知らされていない2名の放射線科医が画像診断するというものです。
結果は健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板の変性が見つかりました。

他にも同じような研究はありますが、要するに慢性腰痛と腰椎椎間板ヘルニアは関連性が低いという事です。もし腰痛で病院受診し、ヘルニアと診断されたら「なーんだ、ただのヘルニアか~」と思っていいと思います。

そんな椎間板ヘルニアですが、すぐに手術を考えなければならない場合があります。それは、、、
膀胱直腸障害(排尿障害)が出た時です。
・膀胱括約筋麻痺による尿閉(尿が膀胱に貯まっても排出できない)。
・外尿道括約筋、外肛門括約筋麻痺により、排尿排便を我慢できない
これは重度の馬尾神経圧迫による症状なので、速やかに神経の圧迫を取り除かなければなりません。