ある年の冬

職場の飲み会の帰り道

横断歩道がつるんつるんの

スケートリンク状態になっていた。


うわぁ~大丈夫かな?と不安に思ったが

タクシーに乗るには、そこを渡るしかない。


信号が青に変わると7~8人渡り始めたが

皆うまく歩けず途中で転倒する人も出始めた。


マズイ、思った以上にすべる。

私はなんとか持ちこたえていたが

あと少しの所で転んでしまった。


しかし転んだが最後

ツルツルすべってうまく立ち上がれない。

まるで生まれたての仔馬の様に足元が

ガクブルしている。


そんな中、無情にも信号が点滅し始めた。

焦る。

歩道まで後3分の1残っているのだ。

もう仕方がない

貞子の様に四つん這いで

信号を渡り切った。


歩道にいた人達は

驚きの表情で見ていたが


この横断歩道を渡った人はもれなく

生まれたての仔馬か貞子になる運命なのだ。


こわいか?

そりゃこわいだろう

色んな意味で…


また信号が変わり

運命を受け入れた勇者たちが渡っていった。


そして私はタクシーに乗り

無事、家へと帰ったのだった。