これまでも様々な機会に申し上げてきましたが、ふじすえ健三は、これからのウェブ3.0時代を担う中核インフラである暗号資産の取引拡大に向けて、暗号資産取引により得た所得に対する20%の分離課税の導入と、2万円以下の少額の暗号資産決済を非課税とする税制改正が必要不可欠だと考えています。

 

こうした観点から、これまでも国会において数多くの質問をさせて頂きましたので、この機会に何回かに分けて紹介させて頂きたいと思います。(もし全文をご覧になられたい方は、「国会会議録検索システム」を活用してご検索頂けますと幸いです。)

 

まずは本年3月16日に、参議院財政金融委員会で、財務省と経済産業省に質問をさせて頂いた内容を紹介させて頂きます。

 

税制を変えるためには、政府(財務省のみならず、金融庁、経済産業省、文化庁など)を動かすことが重要であり、特に、イノベーション振興を進める経済産業省が動いてくれることが必要です。この委員会質疑では経済産業省が暗号資産を基盤とするウェブ3.0、メタバース、NFTの政策企画調査を始めることを約束してくれました。この調査の結果は5月19日の産業構造審議会総会において報告されました。

 

①令和4年3月16日 参議院財政金融委員会

○藤末健三君

 私自身が、私は今クリエーター大国というのを掲げているんですが、やはり日本には様々な絵を描く能力が高い方が圧倒的に多いです、はっきり言って。そういう方々が、今まではある事業者を通してつくられたその価値を販売、出しているわけですけれど、やはり直接そのクリエーターの方々が、このウエブ三・〇、特にNFTを使うことによって、国際市場において自分の作った創作物を価値に変えることができるわけでございますけれど、そこにつきまして、例えば何が問題かと申しますと、その納税計算のハードルというのがございます。このNFTで、例えば自分で絵を描いて海外で売ったり国内で売ったりする、そうすると、その利益はどういうふうに計算されるかというと、イーサリアムや暗号資産でやり取りをしますのでなかなか計算が難しいと。実際に、税務署と相談してもなかなか、その税務署の方もなかなか理解されていなくて、非常に煩雑になっていて、逆にもう諦めちゃう事例もあると聞いております。

 このNFTがより健全に機能するためにもこの税制の整備が必要だと思うんですが、その点、どのようにお考えでしょうか、教えてください。

 

○政府参考人(住澤整君(財務省主税局長))

 お答え申し上げます。委員御指摘のこのNFTにつきましては、従来からあります暗号資産の場合のように、この取引業者が年間における取引報告書というのをこの納税者に提供をして、それに基づいてその納税者が申告をするという仕組みが整備されていないというのが現状でございます。そのために、このNFTを使っていらっしゃる納税者の方が御自身で所得金額を計算して納税するということで、その辺のこの対応が難しいという御指摘かと思います。

 こういった点については、その暗号資産の例なども参考に、この関係省庁におかれて、例えばその申告に関する情報の広報、周知を行っていただき、納税者の方が適正に申告できる環境整備というのが検討されるということがまず必要ではないかなというふうに考えております。さらに、この国税庁の方におきましては、このNFTの取引に係る課税関係についてきちんと分かりやすく示そうということで、丁寧にこの周知、広報を行っていく方向で検討しているものと承知をいたしております。

 

○藤末健三君

 恐らく、周知、広報をしてもなかなか分かりにくいと思います、私自身も思いますが。やっぱり制度を変えなきゃいけないと思っておりまして、二つ提案をさせていただきたいと思います

 一つは、その暗号資産、そのNFTを含む暗号資産の税制について分離課税にできないかということで、これよく言われる話でございますけれど、今は所得税に、あっ、所得に総合課税されると、で、最大税率は五五%となってしまいますんで、多くの暗号資産関係のビジネスを行う方々がシンガポールなどに行っているという状況。是非、株式投資やFX投資と同じ分離課税方式、最大二〇%としてはどうかということ

 そしてもう一つは、このNFT、仮想通貨で決済されるパターンがあるんですけれど、アメリカでは今年の二月に、少額の暗号資産決済は免税するという法案が提出されております。二百ドルですから、二万円以下の決済については非課税にすると。是非、少額の決済については非課税化ということを考えるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか、お願いいたします。

 

○政府参考人(住澤整君)

 お答え申し上げます。まず、ファンジブルトークンのこの一種であります暗号資産の取引に係る所得につきましては、外国通貨の為替差益と同様に、原則として雑所得に区分されて総合課税の対象となるというのが現在の扱いでございます

 上場株式等の譲渡益等につきましては、税制の中立性ですとか簡素性、それから執行の適正な確保といった観点から、あるいはその貯蓄から投資への政策的要請でありますとか一般投資家が投資しやすい税制を構築するといった観点から二〇%の分離課税が採用されているわけでございます。

 一方、この暗号資産の取引による所得に二〇%の分離課税を採用することにつきましては、給与所得や事業所得などのほかの所得とのバランスについて御理解が得られるかといったようなことですとか株式のようにこの家計が暗号資産を購入することについて国として政策的にどういうふうに考えていくのかといった辺りについて、所管省庁等において考えていただいた上での検討が必要であるというふうに考えております

 また、米国で暗号資産の少額な決済を免税とする法案が提出されているということでございますが、これについても、そういった非課税措置を講じる必要性について関係省庁においてまず御検討いただいた上で、暗号資産から生じた他の所得とのバランスなど、課税の公平性との観点も踏まえた検討が必要であるというふうに考えております。

 

○藤末健三君

今ちょうど局長から他省庁で検討しろという話だったんで、経済産業省にお聞きしたいんですけれど、まさしくこのウエブ三・〇の中で、特に今日はトークンエコノミー、NFTの話を申し上げましたけど、是非経済産業省で議論していただけませんでしょうか。恐らく、規制官庁である財務省、税の規制官庁である財務省、また金融などを規制する金融庁では恐らく前向きな議論はできないと思うんですよね。是非、産業を振興するという観点から、経済産業省で、コンテンツ課やファッション室、情報経済課とか、情報産業課とか、まあ特許庁も含めてだと思うんです、知財室も、そういうところを統合して議論を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。

 

○政府参考人(龍崎孝嗣君(経済産業省大臣官房審議官))

 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、ブロックチェーン技術の進展によりまして、暗号資産やNFTなどを活用したトークンエコノミーと称される新たな経済活動が生まれてきておりまして、その結果、商取引や資金調達の在り方、それから企業組織、ひいては産業構造自体が大きく変わり得るという見方もございます。実際に、インターネット上で提供されるサービス分野では、分散型金融サービスを提供する韓国のスタートアップなど、GAFAMなどの既存のプラットフォーマーを介さずに付加価値を生み出す様々な事業、スタートアップが生まれつつございます。

 また、トークンの一部であるNFTは、委員御指摘のアートなどデジタルコンテンツの市場創造だけではなくて、ファッションやスポーツ、地域の観光資源などのリアル資産の価値の顕在化、それから、新たな収益分配実現の観点から活用が期待されております。それから、代替性のあるトークンにつきましても、決済手段としてだけではなくて、海外のスタートアップなどでは株式に代わる新たな資金調達手段としても利用され始めております。

 一方で、これらの領域は世界的にも非常に新しいものでございまして、その発展に向けて障害となり得る課題が様々あれば、経済産業省としてもしっかりと対応する必要があると思ってございます。例えば、ファッションとかスポーツの分野におきましては現在実証事業等を行っておりまして、制度的な課題を含め整理をしているところでございます。今後とも、こうした新しい動きを経済成長のチャンスと捉えまして、民間による様々な創意工夫を促進していけますように、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思ってございます

 

○藤末健三君

是非、経済産業省を中心に、産業としての、産業の育成として、振興として議論を進めていただきたいと思います