「仮想経済とビジネスデザイン」に文章を掲載させていただきました。

 

仮想経済社会とは仮想空間と現実空間が融合した社会であり欧州では「第四次産業革命:インダストリアル4.0」

日本では「Society(ソサエティ)5.0」と位置付けられています。

Source: Keidanren Website[i]


[i] Kobayashi, Yoshimitsu. “Keieisha ha kokoro no ganban kuzuse.” Tokushu ichioku soumusekinin shakai nihon ga abunai, Nikkei Bijinesu, 11 Jan. 2016.

 

藤末はものづくりに強みがある日本で、仮想空間と現実空間を組み合わせた新しいビジネスが世界に先駆けて創造されることを期待しています。

 

創造の時代を迎え物理空間から仮想空間へと産業の活動が移行しつつあります。これからの社会では「アイディア・創造性」が最も価値を持つと考えています。

 

仮想経済の特徴は国境を越えた活動にあり、インターネット上の仮想経済がまさにグローバル化を推進しています。

経済学者のダニ・ロドリックはグローバル化の選択肢として以下3つを挙げています。

 

①    民主主義を犠牲にしてグローバル化を進める。(世界貿易機関(WTO)の取り組み。国家主権の一部を国際機関にゆだねる)

②    グローバル化を進めるとともに政治統合によりグローバル民主主義を実現(EUの取り組み)

③    各国の自律性を保証し民主主義を維持し、グローバル化に一定の制限を加える(トランプ大統領の取り組みやイギリスのEUからの離脱(BREXIT))

藤末はこれに加え4つ目の道があると考えています。

④    完全に他国の経済圏から独立し、自国だけの経済圏を作る

The Leviathan (comprised of subjects) as depicted on the cover of Hobbes’ “Leviathan”

 

中国は仮想経済化が進み、この道へ歩んでいると指摘されています。中国はインターネットを世界から切り離し、仮想空間に集まるデータをすべて政府が管理できるように法制度を整備しています。AI分野を筆頭にプライバシー保護が弱いことが技術革新につながり、経済成長へ大きなアドバンテージとなっています。

 

仮想経済圏はその進む方向に様々な可能性があり、国家のあり方も変容していきます。

思想家ジャック・アタリは国際秩序が弱くなる中で、国家に代わり「グローバル企業と個人」が力を持つと指摘しています。

 

藤末は国家に属さない企業は「仮想国家(サイバーネーション)」になると考えています。つまり、プラットフォーマーが国家のような機能を持つということです。プラットフォーマーが価値の高いサービスを提供することで、国家の役割をプラットフォーマーが果たす可能性が高くなると考えています。

 

プラットフォーマー企業と国家のガバナンスは類似しているが、投票に関して民主主義の原則から離れてしますため、工夫が必要です。

 

ちなみに、エストニアはすでに「物理的にエストニア国内に住んでいなくても、電子居住者の資格((e-レジデンシー※18)を得られる制度を推進しています。なんと安倍晋三総理大臣も「e-レジデンシー」を持っています。エストニアがサイバーネーションになる可能性もあるかもしれません。