2018年7月30日から8月3日にかけてロンドンの仮想通貨企業・政府関係者及びオクスフォード大学の研究者を訪問し、議論した結果、以下の通り。
なお、()内は聞き取りが不明確な部分である。
概観
今回の英国視察で感じたことが以下の3点。
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BREXITを控えたイギリス政府が国の主力産業である「金融産業」の育成のため、Crypt Asset 関連ビジネスの育成を本格的に推進しようとしている。このため、年内にもCrypt Assetに関する法整備を行おうとしている。日本政府としても独自に法整備を行うのではなく、イギリス、アメリカなど海外との法制度の調和を進めるべきである。国際標準を握った国にCrypt Asset(仮想通貨)ビジネスが集まり、資金や情報の流れをコントロールするようになる。投資家保護だけでなくイノベーション推進・産業育成の考え方を中心に置くべきである。
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本資料にあるETORO、CEXといったCrypt Asset関連2社以外にThisPlace(スマホインターフェイスの設計), FintechLabo.io(オープンAPI関連)といったロンドンのスタートアップ企業と面会した。彼らの共通点は「当初から世界市場をターゲットにしている」ことであった。イギリス国内の市場が小さいため、当然のことである。しかしながら、イギリスと同様に少子化により国内市場が縮小する我が国のスタートアップ企業で当初から世界を視野に入れている企業は少ないと感じる。日本のスタートアップ企業も当初から世界展開を計画するように支援・誘導すべきである。
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本資料に記載した教授以外にもオックスフォード大学及びケンブリッジ大学の名誉教授にお会いした。彼らとその学生から感じるのは、オックスフォード大学と東京大学の大きな格差である。国際ランキング5位以内と30位レベルを比較することに無理があるかもしれないが、オックスフォード大学が世界から人と情報を集め、イギリスの国力に大きく貢献していることを痛切に感じる。国際競争力の要としての大学の役割を明確にした上で、我が国も東京大学をはじめとするトップクラスの大学に資金的投資を増やし、また、大学運営の自由度を増やし、少なくとも世界トップ10に1校、トップ100校に10校はランクインするように明確の目標を設定すべきである。
会社概要:ETOROは、FX(為替取引)や株取引、商品取引を差金決済取引 (CFD) 取引形態で提供するオンライン専用の会社。ETOROは、優れたトレーダーの売買ノウハウをコピーして投資するサービスの特許を有している。優れたトレーダーのノウハウを使った場合には報酬を支払う。
概要:
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BREXITを控え、イギリス政府は金融サービスの強化を進めている。クリプトアセットに関する法制度は年内に整備されると見ている。クリプトUK(Gandham氏がChair、約70社参加)もクリプトアセット・タスクフォース(CAT)の主催したラウンドテーブルでプレゼンテーションをさせてもらった。また、必要に応じてタスクフォースメンバーには会っている。
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タスクフォースで8月に報告書を出し、11月に規制の方向性を英国議会の(財政)委員会が決めることになっている。財政金融問題一般政策を見えるが、ブロックチェーンやフィンテックも担当する。委員会の長はNicky Morgan議員である。(下写真はホワイトボードに書かれた説明)
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この財務委員会が中心にクリプトアセットの法整備が行われる。我々クリプトUKも委員のメンバーにアプローチしている。
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ビットチェックの事件に対して、クリプトUKでは80%以上をコールドウォレットにしている。また、セキュリティの技術も強化している。
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クリプトUKメンバーでは、AML(アンチマネーロンダリング)とKYC(ノウ・ユア・カスタマ)をヨーロッパ規則以上に強化している。
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顧客確認やマネーロンダリングへの対応は徹底的に行っている。このガバナンスの面で日本の企業や政府にも貢献できると思う。
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藤末から日本政府にもグローバルプレーヤのビジネスや他国の規制検討状況を伝えて欲しいと要望したところ。先方からは要望があれば話をしに行ってもよいとの回答。
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ユーロポール(欧州警察)がブロックチェーンの動きをトレース・モニターすることを始めている。私たちの協会も協力していく。来年にはアンチ・マネロンの規制が強化される予定である。我々としてもアンチ・マネロンについては提案を行っていく。
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ETOROの経営関しては、世界最大のサービスメニューと顧客を有している。アメリカにはすでに拠点がある。アジアの拠点をどこにするかを考えている。世界3極に部隊を設置し、24時間体制でサービスを行えるようにする。
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アジアでは日本が最大の候補地であるが、法整備がどうなるか不透明(情報を収集する手段がない)である。日本のブロックチェーンの協会とは一度会ったがコネクションにはなっていない。
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The current trend of tokenizing securities(ICO)についてはまだ未着手である。規制が不確定である。ICOには対応せず、現在のサービス(証券、CFD、ETF、CRYPT間取引)を内容的(金、ワイン、施設などのトークン化)・地域的(アジア)に広げていく戦略を取る。
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国連でもクリプトアセットの議論がある。自分たちも参加する予定である。