文化審議会文化経済部会が熊本県高森町が進めている『ふるさと納税を活用した文化と経済の好循環』を提言

 
本日、文化庁の文化審議会文化経済部会から報告書『文化と経済の好循環を実現する文化芸術活動の「創造的循環」』が公表されました。
この中で「ふるさと納税を活用した地域の文化芸術振興」が書かれています。
 
平成28年度に創設された地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)は、令和2年度の税制改正により制度が拡充され、企業による寄附額の最大9割が損金算入や税額控除により軽減されるなど、寄附企業に対する強いインセンティブが働く制度となっている。文化芸術に関する取組が行われている事例もあり、岡山県瀬戸内市による「国宝『山鳥毛』購入活用プロジェクト」などが代表的である。
一方で、本制度に関して、特に文化芸術に関する事例を創出するためには、自治体や企業に対して、積極的なPR活動を進める必要がある。特に企業に対しては、寄附に伴う社会的なインセンティブ等も併せて訴求していく必要がある。また、令和2年度の改正時に、企業版ふるさと納税による寄附を、補助金の自治体負担分に充当することが可能となる措置の対象が拡大されており、文化庁補助金においても活用が可能であるが、実績が未だ僅少である。自治体等に補助金を周知する際に、こうした措置についても併せて情報提供するなどの取組も必要である。
実際に案件を形成していくにあたっては、自治体による主体的な取組が求められる。成功事例のケースを見ると、積極的なPR活動・オール自治体での取組・効果的な企業アプローチ・寄附企業への丁寧なフォローアップ等の工夫がみられる。例えば、先述の岡山県瀬戸内市の事例では、首長を含め自治体全体で案件形成に向けた取組を進めたことに特色がある、また他には東京にある大企業がイニシアチブをとって自治体を巻き込むことにより案件を形成できた事例などもあり、様々な工夫の余地がある。
こうした方法論について、考えられる活用ノウハウに関する調査や情報共有を進めるほか、案件形成にあたってアンバサダーやコーディネーターのような役割を果たす方の協力を得るなど、自治体にとって制度を利用するハードルが下がるようにすることも重要である。
 
 
実際に利用されている事例を聴くと、なんと故郷熊本の高森町でした。
高森町は、企業版ふるさと納税を活用して、漫画出版社「コアミックス」が海外マンガ家の拠点整備支援を計画しています。
予算は、約2,000万円とのことです。

高森町は、この寄付金を使い、海外の漫画クリエイターの受け入れのため、空き家1軒を改修して作業スペースや住居として使い、2人分の生活費を補助するようです。
このような企業寄付をもっと増やし、「マンガ県くまもと」とともに「クリエーター大国」を作って行きます。
 
ちなみに、高森町とコアミックスは2018年9月に「くまもと国際漫画CAMP」を開催しています。また、コアミックスは高森町に、全寮制の漫画アカデミーを開く方針です。