3月16日の参議院財政金融委員会でNFTについて質問をしました。
この質疑についてはCoinpost「自民党の藤末健三議員、財政金融委員会でNFTについて質疑」という記事が出ました。

 

 

まず、暗号資産の納税計算のハードルについて質問しました。

 

2020年以降に流行り始めたNFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)の納税計算は非常に煩雑な現状があります。そのため、個人投資家が売買を躊躇うケースや、計算ミスで意図せぬ脱税行為につながるケースも少なくない。国内に対応できる税理士もほとんどおらず、コスト増や業務圧迫につながっています。専門家の間で見解が分かれたり、税務署の職員でさえ理解や認識が不十分であり、混乱の元になっています。「少額決済の非課税」「異なる仮想通貨間の売買の非課税」などの税制改正を行い、納税計算のハードルを下げることでNFTに対する認知・普及が促進され、より健全な形で市場規模が拡大しやすくなることが想定されるますが、どのように考えるかを主税局長に聞きました。

 

 

財務省の住澤 整主税局長は、以下のように回答しました。

 

議員がご指摘のNFTにつきましては、従来の暗号資産のように、取引業者が年間における「取引報告書」を納税者に提供して、それに基づいて納税者が申告するという仕組みが(現時点では)整備されていないのが現状でございます。

そのため、NFTを使っている納税者がご自身で納税金額を計算して納税するということで、この対応が難しいとのご指摘かと思います。こういった点については、暗号資産の例なども参考に、関係省庁において申告に関する情報の広報や周知を行なっていただき、納税者の方々が適正に申告できる環境を整備、というのが検討されることが必要と考えております。

国税庁におきましては、NFTの取引にかかる課税関係についてきちんとわかりやすく示そうと、丁寧にわかりやすく周知・広報を行なっていく方向で検討していることと承知いたしております。

 

次に暗号資産税制の分離課税化についてです。

日本の暗号資産税制は雑所得の総合課税。「最大税率55%」と飛び抜けて高い現状があるため、有望スタートアップ企業は海外に行ってしまい、NFT市場でも売買が活性化しない。

また、投資家が利益確定を避ける傾向を作り出しており、市場の流動性向上や国の税収増にも十分寄与していない。株式投資やFX投資は分離課税であり、最大20%の税率となる。租税法の「税制の中立性」という観点からも「矛盾している」との指摘がある。このままでは、相対的に税制面で有利な欧米、アジア諸国をはじめとする他国に人材・企業の流出が加速し、今後最もイノベーションの期待されるフィンテック領域において致命的な遅れを取りかねないと考えるが、財務省の考えはいかがか。

 

そして、大事な「少額決済の非課税化」については、米国では2022年2月、「少額の暗号資産決済を免税」とする超党派法案を再提出した。200ドル以下の暗号資産決済において、税務報告の必要性をなくすことで、デジタル経済を発展させる。現状の税制では、暗号資産が日常的な決済手段として普及することを妨げていると考えるが、わが国でも非課税化の導入を検討すべきと考えるがどうかと問いました。

 

住澤整 主税局長方の答弁は、

 

まず、FT(ファンジブルトークン)の一種である暗号資産の取引に係る取引の取得につきましては、外国通貨の為替差益と同様、原則的に雑所得として総合課税の対象になるのが現在の扱いとなります。

 

上場株式等につきましては、税制の中立性や簡素性、そして執行の適正な確保や貯蓄から投資への政策的要請や機関投資家の投資しやすい税制の構築などの観点から、20%の分離課税が採用されています。

一方、暗号資産の取引による所得に20%の分離課税を採用することにつきましては、給与所得や事業所得などの他の所得とのバランスについて、ご理解を得られるかといったことや、株式のように家計が暗号資産を購入することについて、国として政策的にどういう風に考えていくかといった点について、所管省庁に考えていただいた上での検討が必要であると考えております。

 

また、米国で暗号資産の少額決済を免税する法案が提出された点についても、非課税措置を講じる必要性について、まず関係省庁においてご検討をいただいた上で、暗号資産から生じた所得と他の所得のバランスなど、課税の公平性との観点を踏まえた検討が必要であると考えております。

 

NFTへの決済手段としても含めて、暗号資産そのものの流通が拡大しているが、個人の税制が金融商品と同様に分離課税にすることについてどう考えているか。規制上も整備がすすみ金融商品並みの扱いになっているとおもうが、税制だけ追い付いてない印象があります。徐々に変えていきます。