7月7日、主に同人誌やグッズ、ゲーム、コミックスなどを取り扱っているメロンブックス社に伺い、コロナ禍における同人業界についてお話を伺いました。

 

ちなみに、私の同人誌デビュー作である『フジスエvs香川ゲーム条例』は、メロンブックスさん専売で委託しております。

今回、お話を聴かせていただいたのは、株式会社メロンブックス第一仕入部 同人三課の龍見太輔課長です。

 

メロンブックス社もコロナ禍により、売り上げが落ち込んでしまったとの事でした。 

 

コロナによりイベントが中止・延期となる

→発表する場がなくなってしまい締切がなくなってしまうため作品を生み出す目標が失われる

→制作意欲が湧かず、筆を折ってしまう人が続出する

→新刊が出ないため本が売れない

という悪循環に陥ってしまったそうです。

 

そのため、作家の方々に作品を生み出す目標を持っていただくために新たな取り組みが必要ということで、①リアル即売会、②リアル委託販売イベント、③エア(オンライン)イベントの開催に力を入れるようになったそうです。

 

①リアル即売会

メロンブックス社が主催者としてリアルでの同人誌即売会を開催することに。

主に東京で月に1回程度開催しており、広島や大阪でも開催を予定しているとのことです。

(2021年7月のイベント。画像は公式サイトより)

 

6月のイベントの際は募集100SPに対して130の応募があった(枠を増やして全サークル参加で開催)。

8月開催予定だったイベントは、会場に予定していたPioがワクチン接種会場となってしまったため、強制的にキャンセルとなり、代替会場を探すのに苦労している。

※この話は別の方からも伺いました。ワクチン接種という公益性の高い取り組みではありますが、元々の入っていた予定を有無を言わさずにキャンセルさせるやり方は改善する必要があると考えます。

 

地方での開催も今後増やして行きたいと考えており、他の主催者とのコラボも企画しているとのことでした。

 

②リアル委託販売イベント

秋葉原にある実店舗の展示スペースを活用して行うイベントで、サークルとして現地に来られない人でも自身の同人誌を販売することが可能。通常よりも委託率が高いのが特徴であり、何と90%で実施されているそうです。

(2021年3月に開催されたイベントカタログ)

こちらのイベントは2〜3ヶ月に1回の頻度で開催されているそうです。

 

③エア(オンライン)イベント

ネット上での即売会イベントも開催しており、リアルイベントとの連動型で行われることが多いとのことでした。

 

(7月のリアルイベントとの連動エアイベント。画像は公式サイトより)

 

自社開催だけではなく、既存のイベントの主催者からエアイベントを請け負って行うことも多く、その場合も委託率は90%で行っているそうです。

ちなみに、5月23日に開催された私のサークルデビューイベントとなったCOMIC1 BS祭りスペシャルも連動型のエアイベントを行われており、そちらにも委託させていただきました。

エアイベントで一番厳しいのが、郵送費(宅配便費)がどんどん上がっている事であり、この部分に何か支援を行っていただけると大変有り難い。

どのイベントについてもほとんど利益度外視で、同人文化を守るため、盛り上げるために少しでも貢献したいという思いから行われているとの事でした。

 

そして、現在一番売上が伸びているのが海外事業であり、何と毎月150%以上の伸び率を記録しているとの事でした。

販売先としては、中国・台湾・アメリカの順で売れており、東南アジアや南米でも伸びていて、今後、海外向けには様々な展開やサービスを検討されているそうです。

特に中国においては、自国での表現規制が激しいため、日本の豊かな表現の作品に飢えている人が非常に多くなっているとの事でした。

一方で、飢えているが故に違法アップロードが横行してしまい、ユーザーもそれを利用してしまっている部分があるようで、正規版が入手できるルートがあれば利用する人は多いと言われているそうです(それが難しいという現実もありますが)。

 

今回、お話を伺って、同人文化が海外で非常に求められているということがとても印象的でした。

二次創作物の場合は著作権などの問題は処理する必要はありますが、オリジナルの同人誌やグッズの販売などでも海外に対して日本の魅力を発信する重要なツールに成り得る可能性を強く感じました。

 

龍見様、お忙しい中、ありがとうございました。