2月28日、赤ブーブー通信社(有限会社ケイ・コーポレーション)(以下、「赤ブー社」)が主催する同人誌即売会「HARU COMIC CITY(春シティ) 28 東京」を視察させていただきました。

 

赤ブーは、同人誌即売会の中でもいち早くリアルイベントを開催され、コロナ禍における同人誌即売会の開催ノウハウをお持ちであろうということで、お願いさせていただきました。

 

まず初めに、参加者(サークル参加者・一般入場者とも)に対し、COCOAアプリと独自の入場者管理システムの登録を求めることで、万一の感染者が出た際の行動履歴を確認できるようにされていました。

 

会場内を上から見させていただきました。

原則、出展サークルの間のスペースを50cm間隔で取り、1卓で2サークル利用となる場合は、衝立を設置することでソーシャルディスタンスの確保に努めるとともに、通路も従来よりも大幅に拡張されていてました。

このため、出展サークル・入場者を合わせて、最大でも従来の5割程度の収容人数になるとのことでした。

 

また、会場内では各ホールに臨時手洗い場が増設されていて、参加者に対する感染予防の徹底が呼び掛けられていました。

ちなみに、この増設費用は1か所当たり約15万円程度とのことですが、こういった工事を請け負う業者の方も仕事が激減しており、「とにかく仕事が欲しい」という切実な状況にあることを聴かせていただきました。

 

続いて、会場となっている東京ビッグサイト(以下、「BS」)についての問題点を教えていただきました。

 

BSの敷地周囲には、使用用途が不透明な土地があり、ここに搬入車両が通ることができるようになったり、車両待機所として使えるようになれば、利便性が格段に上がるということでした。

また、現状では人の待機所も限定的であるため、国と都が相談してこうした土地の有効活用をして欲しいと教えていただきました。

 

会場内外を一通り視察させていただき、赤桐代表と西尾事業部長から赤ブー社のコロナ禍における取り組みについてお話しいただきました。

赤ブー社は、昨年2月の段階から情報収集と発信を行い、来場前の体調管理や手洗いの徹底(会場トイレにペーパータオルを設置)が重要であるという情報をいち早く発信されていたとのことでした。

 

ご案内の通り、昨年2月の緊急事態宣言によるイベント開催自粛要請を受け、3月から5月に予定していたイベントは全て延期となってしまいました。

ですが、赤ブー社は、全てのイベントを「中止」にはせず、「延期」とすることで、参加予定だったサークルに対しては参加費を繰り延べし、次回の参加時に充当できるようにされています。

 

そして、宣言が解除され、7月12日に大阪でイベントが再開となりましたが、直前に大阪でクラスターの発生などが報じられた影響もあり、来場者数はすぐには戻りませんでした。

また、解除されたとはいえ、集客イベントに対する風当たりは強く、開催すること自体への批判もあったとのことでした。

 

しかしながら、このままイベントを中止していくことは主催者としては短期的にはリスクは低いものの、長期的に見た場合、主催者だけではなく、印刷業者などの関連産業への影響も大きくなり、将来的な展望が開けないということから開催を決断されたとのことでした。

(出展:赤ブー社提供資料)

 

上記の資料のように、開催することでコロナ禍による会場費負担増や当日の対策費などによる運営コストが増大するものの、頒布機会が生まれることにより出展するサークルの創作意欲を維持し、印刷業をはじめとする関連産業に経済効果が波及することになります。

また、開催を継続することで感染症対策を講じた運営上のノウハウも蓄積され、参加・来場者にも対策時の参加経験が共有されていきます。

一方、中止することにより、一時的には支出が減ることでコストは圧縮されますが、サークルからの出展参加料なども繰り延べすることで将来的な収入減となり、また損失が拡大しその影響が関連産業にまで及んでしまいます。

 

そのため、現在はイベントが中止となったことへの支援策を講じていますが、今後は必要な感染症対策を講じつつ、リアルの場でのイベントを開催することに対するインセンティブを作るための政策を講じていく必要性を強く認識させていただきました。

(出展:赤ブー社提供資料)

 

また、業界としても、世論調査では若い世代はワクチン接種の希望割合が低いようですので、感染防止の観点からワクチン接種の啓発広報や企画など、ウィズコロナへの協力をすることも可能ではないかという提案もいただきました。

 

代表の赤桐様とは、これまでMANGA議連の総会や、経産省と同人業界との意見交換などでもお会いしていたものの、じっくりとお話を聴かせていただいたのは初めてでしたが、明確な信念の下、同人業界を盛り上げるために必要な取り組みを実践されているということ、そしてこれまでの事業としての強みを活かしておられるということがとても印象的でした。

 

今回学ばせていただいたことを、しっかりと政策に反映できるよう、引き続き仲間の議員とも連携して取り組んでまいります。

赤桐様、西尾様、貴重な機会を本当にありがとうございました!