2020年10月24日、核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約(TPNW)に50番目となるホンジュラスが批准し、TPNWの発効が決まりました。条約発効条件である50国の批准となり、90日後の来年1月22日に条約が発効します。

私自身、世界の政治家が集い核軍縮・不拡散を目指す「核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)」で、核兵器禁止条約を推進していた身としては喜ばしいことであります

特に、PNND・JAPANhttp://www.pnnd.org/ja

今年4月には「世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会との共同提言」を策定し、宗教と政治の協力による核兵器のない世界の実現について提言を行いました。

共同提言文PDF:http://www.peacedepot.org/wp- content/uploads/2020/06/20200427WCRP-PNND.pdf 

また、昨年のNPT運営会議準備会合においては、PNND・Worldと世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の共同カンファレンスhttp://www.pnnd.org/ja/article/niyuyokuguo-lian-ben-bu-deibentowoxing-imasita開催し、私も参加しました。

また、PNNDは、2017年にはICANなどとともに、バチカンで開かれた核軍縮に関する会議に参加しましたhttp://www.pnnd.org/ja/article/pnndhuransisukofa-wang-sositehe-bing-qi-fei-jueこの会議ではフランシスコ法王は核兵器保有を非難されています。フランシス法王は、「人類は核兵器のあらゆる設置がもたらす人道的、環境的な破滅的な影響について真剣に懸念することを怠ることはできない。過失事故による爆発などのリスクを考慮した場合、使用するのと同様に保有することも断固として非難されるべきことだ。」と述べられました。

 

このような「核なき世界」の実現を求める多くの世界中の人々の活動が、核兵器を非人道的で違法だとみなす初めての国際条約を後押ししたと思います。

 

一方で、核保有国は核戦力による均衡・抑制を安全保障としており、核兵器保有国は本条約に参加せず、実効性を指摘する声もあります。米国をはじめロシア、中国、英国、フランスの核兵器保有5カ国は現状の核拡散防止条約(NPT)の枠組みの中で核軍縮を進めるべきだとの立場をとっています。

 

また、日本政府も、わが国は唯一の戦争被爆国ですが、アメリカの核の抑止力に頼らざるを得ない状況の中で、批准には慎重です。北朝鮮の核開発や中国の軍備増強など安全保障環境が厳しくなる中でアメリカの「核の傘」による抑止力を維持していくことが現実的だとの立場です。日本政府もNPTを重視する立場となります。

 

核兵器禁止条約は発効から1年以内に締約国会議を開催し、核兵器廃棄の期限や検証方法などを決めることとなっています。核兵器禁止条約は、核兵器の開発・生産・使用・保有などに加えて「使用するという威嚇」も禁じ、核兵器の実験や移転、配備の許可も禁止します。なんとかオブザーバーとして日本政府が参加する道はないかと考えます。

 

一方、今年で50周年を迎えるNPTも厳しい状況にあります。

来年(2021年)1月には核拡散防止条約(NPT)の運用状況を点検する運用検討会議の開催が予定され藤末もPNNDの立場で参加します。これは当初4月に開催されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されたものです。

NPTは1970年に発効した核保有5カ国を含くんだ枠組みで、50年間、核不拡散や核軍縮、原子力の平和利用を進めてきました。しかしながら、私も参加した2015年の運営検討会議では、議論が収束されず最終文書を採択できませんでした。次のNPT運営会議で最終文書に合意できなければNPTは実質動かなくなると懸念されています。このよう中で核兵器禁止条約が批准されたことは「NPTを動かす駆動力」になるのではないかと言う関係者もいました。

 

NPTだけではありません。

2019年8月には、「中距離核戦力(INF)全廃条約」が失効しました。

また、来年2月にはアメリカとロシアの軍縮枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)の期限が切れます。

また、CTBTもいまだ発効していません。

(出典:日本経済新聞より)

 

このように核兵器廃絶への道のりは遠いものでありますが、精一杯与えられた場で役割を果たさせてもらいます。

国際外交では、政府をファーストトラック、非政府をセカンドトラックといいます。国際社会では、政府と非政府は役割を分担して外交を進めます。私も国会議員という非政府の立場でセカンドトラックの活動を進めていきます。