1月17日に生放送されたAbemaPrime(テーマ:「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」)に出演させていただきました。

出演依頼が事務所に来たのが当日の13時ごろで、ちょうどワシントンD.C.から帰国するフライトが着陸する直前というタイミングでした。

今回のテーマである香川県のネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)について、このブログで問題点を取り上げていたように非常に問題の多い条例であると考えておりましたので、帰国当日というハードスケジュールではありましたが、出演を即決させていただきました。

 

番組では、出演者の方々がこの条例の問題点を多数指摘されていましたが、

私からは特に以下の点についてを指摘させていただきました。

 

・条例を議論している検討委員会は、傍聴を認めておらず、議事録も非公開であり、議論の透明性が確保されていない。

このような状況は、条例を制定する上で適切ではないのではないか。

また、ネット等に理解のある専門家やユーザーの意見を取り入れるという視点が必要ではないか。

 

・条例の内容は、ゲームのみならずデバイスであるスマホやタブレットなども規制しており、国策として近年力を入れている教育のIT化やeスポーツ推進に反するものではないか。

 

また、共演した慶応義塾大学の田代特任准教授からは、この委員会で検討したネットの利用時間と学力の関係に関するグラフは、「典型的な疑似相関であり、関係があるとは言えない」という指摘は、まさにその通りだと思います。

 

https://twitter.com/okotatsudoragon/status/1218156589326012416

 

やはり、まだまだゲーム障害についての科学的な根拠が乏しい中で、条例で規制するというのは行き過ぎだと言わざるを得ないと思います。

 

今週末には、香川県でこの件についての勉強会が行われるそうですので、是非とも参加したいと思います。

山田太郎参議院議員をはじめ、多くの仲間とともに、しっかりと取り組んでまいります。

 

 

また、時間の都合で番組では取り上げられることはありませんでしたが、以下のような資料を用意しておりました。

せっかくですので、こちらで説明させていただきます(資料作成にご協力いただきました皆さまにはこの場をお借りして感謝申し上げます)。

 

1.スマートフォン等の使用時間などを条例で一律に制限することの是非

 

・スマートフォン等の使用に当たって、子どもと保護者との間で使用等の制限に関するルールを決める意義は理解するものの、条例という形で行政が一律に保護者に対して一定の作為義務を課すことは適切と言えるのか。

 ・既に香川県では、教育委員会が、スマートフォンやゲーム機等の使用の適正化に向けた共通ルール「さぬきっ子の約束」を取りまとめ、家庭内でルールを決めること等を推奨しているところである。まずは、こうした啓発活動を通じて、各家庭の実情に合わせたルール形成を促していく取組を優先するべきであり、条例による一律の規制はなじまないのではないか。

(香川県教育委員会が公表している「さぬきっ子の約束(小学生向け)」)

 

2.平日1日60分(休日90分)・小中学生は夜9時まで(高校生は夜10時まで)という制限の根拠・実効性の確保

 

 

 ・平日1日60分(休日90分)・小中学生は夜9時まで(高校生は夜10時まで)という制限を、(しかも全ての児童生徒に対して一律に)設定することが、ネット・ゲーム依存症対策に有効であるとのエビデンスはあるのか。

 ・また、一口にスマートフォン等の使用といっても、オンラインゲームから調べ物学習としてのインターネット利用まで、使い方は様々である。何が「ネット・ゲーム依存症につながるようなスマートフォン等の使用」になるのかを明らかにせず、外形的な使用時間を制限するという議論は、丁寧な議論とは言えず、過剰な規制になりかねないのではないか。

 ・内閣府の「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査」によれば、青少年のインターネットの利用時間(平日1日当たり)は、約169分である。条例(素案)における平日1日60分という制限は、あまりにも現実離れしており、形骸化したものとなる恐れはないか。

 

3. ICTを活用した教育・学校現場に与える影響

 

 ・改訂された学習指導要領では、情報活用能力が重視されており、コンピュータ等を活用した学習活動の充実が目指されるとともに、小学校におけるプログラミングの授業が必修化された。また、政府は、児童生徒1人1台端末の実現に向けて令和元年度補正予算案に2,318億円を計上するなど、その整備を推進している。政府全体としてICTを活用した教育を推進している中で、条例に基づく家庭内でのスマートフォン等の使用時間制限が、家庭におけるICTを活用した学習を阻害することとならないか。

 ・また、条例(素案)では、学校等がネット・ゲーム依存症対策に協力すること等が謳われている。ネット・ゲーム依存症対策の重要性は理解するにしても、何でも学校等に負担を押し付けるという事態に陥れば、教育現場は疲弊し、ますます「学校における働き方改革」が遠ざかることとならないか。

 

4.我が国の文化等に与える影響

 

 

 ・ゲームを含む多様なコンテンツは、我が国が世界に誇る貴重な文化資源である。また、eスポーツに関しても、「未来投資戦略2018」において、「健全な発展のための適切な環境整備に取り組む」とされるなど、その推進が謳われている。ネット・ゲーム依存症対策が必要としても、ゲームやインターネット利用の全てが悪いわけではない。どのようなコンテンツをどの程度利用することが、ネット・ゲーム依存症につながるのかを詳しく分析した上で、個別に対策を講じることが必要なのであり、ゲームやインターネット利用の全てを一律に制限することは、我が国のコンテンツ文化に悪影響を及ぼしかねないのではないか。