8月3日

仮想通貨を含むクリプトアセットの法制度を検討するクリプトアセット・タスクフォースの事務局と議論をしました。

場所は、HMT会議室。

先方は、タスクフォースのシニア政策アドバイザーと政策アドバイザーのお二人です。この二人など30人近くのスタッフが9月のレポートを作成していると聞きました。

概要は以下の通りです。

 

先方:クリプトアセット・タスクフォースは、HM Treasury, Bank of England, Financial Conduct Authorityの三組織からなるチーム。5月に初会合があり、キックオフされた。物理的に同じオフィスに集まっているのではなく、連携を取りながら、クリプトアセットのリスク分析や分散台帳技術(DLT、ブロックチェーン技術)の将来展開を検討する。9月にはレポートを取りまとめる。取りまとめたレポートは公表され、これに基づき(参考に)議会の(11月に)金融委員会が規制を検討することになる。

 

タスクフォースのメンバーは:Katharine Braddick, Director General of Financial Services at HM Treasury, Andrew Bailey, Chief Executive of the FCA, and Dave Ramsden, Deputy Governor of the Bank of England.

 

藤末:ビジネスサイドの話を聴いているか。

また、産業関係省庁とは連携しないのか。

 

先方:プリプトUKというクリプトアセット関係の団体がある。この団体や関係企業30社からはヒアリングを行った。また、適宜意見を聴くようにしている。BEIS(ビジネス・エネルギー・産業戦略省:Department for Business, Energy & Industrial Strategy)とは正式な連携ではなく実質的に連携を取っている。政府全体としてクリプトアセットへの対応をまとめ上げる。(発言からいかにも自分たちが書いているとの雰囲気を強く感じた)

 

7月にラウンドテーブルを開催し、学術、消費者団体、投資家などから意見を聴集している。

 

藤末:仮想通貨規制の方向性はどのようなものか。

先方:消費者保護とイノベーションのバランスとなる。詳細についてはレポートを作成に向けて検討をしており説明は困難。

藤末:ICOへの対応はどうなるのか。

先方:ICOは制度や環境を整えるのが大変だと見ている。(会話の雰囲気からおそらく9月のレポートでICOに関する報告を行う様子)

藤末:ICOを進める方向か。スイスはトークンの販売の売り上げを5年間繰り延べできる税制を実施していると聞く。

先方:イギリスはスタートアップ企業への税率は低く10数パーセントしかない。トークンの売り上げを利益として課税してもそれほど大きな負担にはらなないとみている。

藤末:Fintech Bridgeとしてオーストラリア、中国、シンガポール、香港、とフィンテック政策の連携を進めているが、日本政府からのアプローチはあるのか。

 

3月22日に財務省長官(Chancellor of the Exchequer)はオーストラリアの金融規制庁と証券投資委員会とFintech Bridge Agreement(フィンテックブリッジ協定)を締結。規制の調和などを行い、イギリスのFintech企業がオーストラリアで活動できるようにしていく。特にオープンバンキング(オープンAPI)で連携を進める。

 

先方:我々は国際関係担当ではないが、日本からの連携への

プロポーズの話は聞いていない。

藤末:ヨーロッパのイギリスとアジアの日本が連携すれば国際的なルールのイニシアティブをとれると思うがどうか。BREXITを目の前にして、日本との連携は重要と考えないか。

先方:まずはイギリスの制度を整備することが優先となる。

国際的な連携はその後になる。

藤末:タスクフォースはどの程度の力を持つのか。

立法まで行うのか。

先方:財務省の局長、FCAの局長、イングランド銀行の副総裁がメンバーであり、9月の報告書は政府内でも大きな意味を持つ。立法を行うのは議会の委員会となる。

藤末:Tech Nation Fintech Programmeとの連携を取るのか(政府主導のフィンテック育成プログラム。プログラムは今年6月に募集が始まり9月にラウンチされ、来年の2月まで行われる。フィンテックのショーケイスや人材育成の支援を行う)

先方:イノベーション促進政策はタスクフォースではカバーしていない。法整備を検討している。

藤末:是非ともクリプト・アセットに関する規制などの調和(ハーモナイズ)を日本と行ってほしい。ヨーロッパの極としてのイギリスとアジアの極としての日本、そして米州の極としてのアメリカが連携して、新しい金融サービスの基盤となりうるクリプトアセットの規制の標準を創れば、三か国にとって大きなプラスになると考える。

先方:タスクフォースは規制の検討だけで国際展開は対象でないが、考えには深く同意できる。