講談社のブルーバックスからメルマガが届きました。
 
私も自著を6冊刊行させていただいてお世話になっているのが講談社のブルーバックス・シリーズです。
 
今回配信されたメルマガで紹介されているのが写真の新刊本です。
 
ブルーバックスの編集者の紹介文がとても面白かったので、一番下に青字で引用させていただきました。
 
ブルーバックスは科学系出版物なのですが、今回の紹介文を書いた方は、ご自身のことを「ド文系人間」と表現しているので、文系出身の方のようです。
 
だからこそ面白いのかもしれません。
 
あのアインシュタインが不気味だと言い、最初は信じなかった現象が「量子もつれ」です。

その「量子もつれ」に私も興味を持って以来、量子力学入門書は何冊か買いましたが、全て途中で挫折しました。
 
写真の新刊本は入門書ではないようですが、再挑戦の意味で、今アマゾンに発注しました。
 
■■以下、メルマガより引用■■
 
【担当者のうらばなし】
 
★最初に読むべきブルーバックス★
 
これまでいろいろな人に聞いてみた感触では、とくに理系や科学ファンでなくとも、1冊くらいはブルーバックスを読んだことがあるという方は意外に少なくない気がします。
 
正直、尊敬してしまいます。何を隠そう私、15年前に40代でこの編集部に異動になるまで、ブルーバックスなんかさわったこともありませんでした。
 
当時の編集長から最初に「いーいこーるえむしーじじょうは知ってますよね?」と聞かれて「いやー」と首をかしげたら、本当に暗い顔をされたことは忘れられません。
 
おかしな人事異動はこの会社の伝統です。
 
最初の仕事は、編集長が進めている量子力学の本のお手伝い(といっても索引をつくるくらいですが)。
 
参考のために読むようにいわれたのが、和田純夫さんの『量子力学が語る世界像』でした。
 
初めてのブルーバックスとしては、ハードル高すぎでしょう。
 
ちくしょう、こんなもん読めるかよ、知らない言葉だらけで海外転勤になったみたいだ、いや英語のほうがまだ理解できるか……などとわが運命を呪いながら、いちおう文字だけは追いかけました。
 
何度もわけがわからなくなっては読み返し、何度も居眠りをしました。
 
そしてようやく読み終えたとき、私は椅子から転げ落ちそうなほど驚いていました。
 
「こ、こ、こ、こんなことが最先端の物理学では本気で考えられてるの?」
 
この世界は無数に分岐している! 
 
自分もそれぞれの世界に無数に存在している! 
 
それがこの世界の理解のしかたとして、もっとも合理的である可能性が高い!
 
衝撃でした。
 
年甲斐もない言葉をつかえば、量子力学やばい、物理やばい、と思いました。
 
そしてブルーバックスに異動したことを、心から幸運だったと思いました。これを知らずに死ななくてよかったと……。
 
このほど、和田さんから『量子力学が語る世界像』に新しい知見を盛り込んで大幅に刷新したいとのお話をいただき、久しぶりにこの本を読み返してみました。
 
15年の歳月は「ド文系人間」を「なんちゃって理系」に変えていました。
 
量子力学の本も何冊も読み、自分でも担当していたので知識も増え、俺もあの頃と比べるとけっこうわかるようになったなあ、などと悦に入りながら読み進めました。
 
読み終えたとき、私は自分が本当に幸運だったことを思い知らされました。
 
自分がブルーバックスを好きになれたのは、最初にこの本に出会えたからだったのだ、と。
 
いま読んでも、けっしてやさしくはありません。
 
しかし、多くの量子力学入門書と違うのは、15年前のド文系人間のように前提知識がゼロでも、論理のレンガを一つ一つ積み上げていけば、時間はかかるけれど、衝撃の世界像が合理的であることについて納得できるように書かれていることです。
 
いわゆる「天下り」が一切ないのです。
 
和田さんに「ぜひ!」とお願いして、ほぼ全編にわたって手を入れていただいた原稿は、さらにロジックが研ぎ澄まされていました。
 
量子力学について、なんちゃって理系が間違って思い込んでいたことが、いくつも正されました。
 
そして、量子力学につきまとう永遠のパラドックスともいわれるあの「シュレーディンガーの猫」についても、天下りなしの論理の積み重ねで、不思議でもなんでもない話として説明されています。
 
書名はいかついかもしれませんが、最初に読んでほしいブルーバックスとして、すべての人にお薦めしたいです。(Y)