かつて蝦夷地と呼ばれていた北海道では、
アイヌの人たちが自然と共に暮らしていました。
旭川を含む上川地方もその1つでした。
戊辰戦争末期に榎本武揚や土方歳三などの旧幕府軍は、1868年に
箱館(現在の函館)の五稜郭を攻略して蝦夷地全島を支配下に置きましたが
翌年(明治2年)5月に降伏し、戊辰戦争が終結すると、
明治新政府は同年蝦夷地に開拓使を置き開拓と整備に乗り出しました。
また開拓使の設置に伴い蝦夷地を北海道と改称されました。
当時の北海道の開発は、札幌を開拓の中心に据え、
船などの交通の利便性や北方への防備を念頭に海岸線の開拓を進め、
広大な内陸部の開発は手付かずのままでした。
明治19年、札幌に北海道庁(本庁)が置かれ、函館と根室に支庁が置かれました。
その後、北海道中央部の開発拠点として上川の開拓が進められ、
明治23年(1890年)に旭川、神居、永山の3村が置かれました。
翌年から開発の尖兵として屯田兵が入植し、
旭川は上川の中心として開拓が進められました。
その上川地方の開拓の守護として旭川の鎮守とされたのが『上川神社』です。
上川神社は、旭川市内を望む丘(神楽岡)に鎮座しています。
神社を含む神楽岡公園は、開拓以前の原始の森の姿を保ち、
アイヌ民族の聖地と云われた場所です。
アイヌ語で〝神々が遊ぶ丘〟と云う意味の和訳が由来の地名です。
それ故に上川神社は北海道屈指のパワースポットとしても有名です!
参道の石段は一の鳥居から二の鳥居まで全109段ほど続いています。
◆一の鳥居
◆上川神社
北海道旭川市神楽岡公園2番地1
【社格等】
旧社格は県社、別表神社
【ご祭神】
●天照l皇大御神(あまてらすすめおおみかみ)・・・皇室の祖神、日本人の総氏神
●大己貴大神(おおなむちのおおみかみ)・・・経営、医薬、開拓、五穀豊作の神
●少彦名大神(すくなひこのおおかみ)・・・国土経営、医薬、酒造の神
【ご創建】
明治26年(1893年)7月15日、上川地方の開拓守護の神並びに旭川の鎮守として、
義経台と呼ばれた現在の旭川駅付近の高台(現在の宮下通4丁目から7丁目)に
天照皇大御神をお祀りしたのが創祀とされています。
鉄道の設置や街の発展に伴い、明治31年に神社を6・7条通8丁目に、
同35年宮下通21丁目に遷され、その後、ご祭神に大己貴大神・少彦名大神を祀り
大正13年(1924年)6月6日神々が鎮まる適地として、かつて上川離宮建設が
決定された神楽岡に神社を遷されました。
手水舎には神居古潭(アイヌ語で神の住む場所)で採れた石を水盤に使用しています。
◆手水舎
◆二の鳥居
この神楽岡には、かつて天皇陛下のお住まいの皇居以外の宮殿である
「上川離宮」の建設計画があった場所です。
上川離宮計画は有耶無耶の内に消え、その面影は碑を残すのみとなっています。
◆神楽岡碑(左)と上川離宮宣達書碑(右)
北海道では唯一と云える本格的な能舞台の舞殿があります。
◆舞殿
上川神社の社殿は、日本で一番古い建築様式と云われる神明造で、
大正9年から同13年まで4年をかけて建築されました。
◆拝殿
拝殿内は、全国的にも珍しいオンコ(イチイ)製の木彫りの狛犬ならぬ狛熊が
御神前を護るべく控えています。
◆社殿
本居宣長の「敷島の大和心を人間はば、朝日ににほふ山桜花」の
朝日を旭川の旭にかけて山桜花を社紋とされたそうです。
奥にうっすらと本殿が見えました。
◆社殿
社務所の横にある神池には残雪が残っていました。
◆神池
神社に訪れた日は令和元年5月1日でしたので御朱印を求める多くの人が並んでいました。
待ち時間は1時間強とのことで、引換券をいただき上川神社頓宮へ向かいました♪
◆社務所
◆御朱印
上川神社の境内には太宰府天満宮より勧請された
菅原道真公を祀る旭川天満宮があります。
◆旭川天満宮
天満宮は地元の受験生に人気があります。
◆旭川天満宮 社殿
旭川天満宮の御朱印は上川神社社務所でいただけました。
◆御朱印
上川神社は当初、天照大御神だけ祀っていましたが、その後、開拓三神のうちの
2神である大己貴大神と少彦名大神が祀られ主祭神となっています。
そして旭川の開拓に大きな貢献をした黒田清隆、永山武四郎、岩村通俊、
鍋島直正の4柱のほか、6柱の神様を祀っています。
◆旭川周辺マップ
旭川の中心部にある常盤公園内の千鳥ヶ池の中島に『上川神社頓宮』が鎮座しています。
旭川郊外の神楽岡に鎮座する上川神社まで行かれない人も頓宮で参拝することで、
本宮で参拝したのと同じ御利益があるとのことです。
◆上川神社 頓宮
北海道旭川市常盤公園
正面に本社と同様の神明造りの社殿があり、左手に社務所がありました。
本宮に御朱印帳を預けてきたので、ここでは書置きの御朱印をいただきました。
◆御朱印
◆常盤公園案内図
<参考文献>
・上川神社公式ホームページ
・旭川市公式ホームページ
・北海道神社庁ホームページ
・ウィキペディア