目的の髪色がはっきりしたので

早速美容室を予約。

ラーメン屋さんの列で出会った理想の髪色は

残念ながら撮ることは叶わなかったが

(勇気でなかったぁーー…)

それに近い画像は何枚か探せた。

それを見せて「こんなのにして下さい」と言おう

と思っていたのだが。

 

予約の日が明日に迫った前日の夜、ふと思う。

この画像を見せるだけではアレにはならないのでは?

アレ……つまりラーメン屋の列の女性。

あの髪色に近い画像を探し当てたつもりでいたが

何か違うような気がしてきた。

なんだろう。

 

数日前に隣に並んでいた女性の髪色を思い出す。

撮りたい…撮らせてくれ…あーできない

とかいう妙な葛藤も同時に蘇らせながら

記憶を辿る。

あ。水色。

そう、彼女の髪には水色のハイライトが入っていた。

私はきっとその色合いに惹かれたんだ

と思った。

 

そんな記憶を抱きながら予約当日、美容室へいき

担当の美容師さんに、頑張って今日のオーダーを

伝えてみた。

全体的な色のイメージはこれ、と画像をみせつつ

毎度入れてもらってるハイライトを…ね?

水色、とか、いいなぁ〜…って思ってるんですけど

ゴニョゴニョ。

水色って入るの?っていうかすぐ落ちちゃう?

なんて質問もしてみた。

 

すると担当のお兄さんは水色に関して答えてくれた。

多分、多分ですけど、青を入れてそれが褪色していった

結果なんじゃないかと思うんですけどねぇ〜

とのこと。

ナルホド。最初から水色という選択肢ではない

ということなんだな。

 

じゃぁ、青色!今日は青色入れてみますニコニコ

 

こうして会話の多くは「ハイライトの色(青系)」

に関しての話になり、仕上がりのイメージは

横へ置いておかれることとなってしまった。

これが後に尾を引く発端になるなど思いもせずに。

 

 

そもそもは「白髪ぼかし」を目的として

ハイライトの縦の筋を入れてもらっていたのだが

どうもその縦縞が毎度控えめなのである。

ちょっと多めに入れて下さい、と言ってみても

やはり私が思ってるよりも大分控えめなのだ。

なので今回は「シマシマになるくらい」と言って

なんとか意図を伝えようとした。

おりしもハイライトを水色にしたいとかいう話も

したところだったし、担当のお兄さんは

「OKわかりました!」と言ってくれたので

ようやく私の理想が伝わったようだった。

 

楽しみ。

仕上がりがとても楽しみ照れ

今日はアレ(に近い色)で帰れるんだな

と思うとウキウキだった。

施術中は持参した本を読んでるので会話はないのだが

それもまた居心地がいい。

友達と呼べるほど親しくなってる訳でもなく

付帯状況を何も知らない美容師さん相手に

すぐ途切れる会話をするのは、もう心が苦しくなって

変な汗が出てくるので、黙々と施術に集中してくれてるのが

ありがたかった。

そうやって約2時間かけて白髪は隠され

水色になるのを前提とした青色のハイライトが入る……

 

はずだった。

 

 

私が鏡を見たのは2時間後。

パッと顔を上げると「アレ」に近い状態になってる自分を

想像してちょっとニヤけながら、見る。

しかし、思ったより暗い色味の頭がそこには映っていた。

そしてよく見ると青色のスジスジが入っていた。

うん……うん?……

そうか、こういう結果になったか。

 

どうですか?と30センチ四方くらいの鏡をパカっと開いて

後ろの状態も見せてくれる。

この時点で例えば「違うんだ…」と駄々を捏ねたら

どうなってしまうんだろう?

まず困るよな。

そう困るんだよ。

いやいやいや、困らせたくはないんだ

困って欲しくない、めんどくせーとか思われたくない

そんな思いが勝ってしまってつい、

「あ、うん、はい。」と言ってしまう泣

仕上がりは思ってたのとは違っていた。

いっぱい説明してみたけど、多分

オーダーがとっ散らかってたんだ。

 

明るい色にしたくて画像を提示したけど

会話の中心はハイライトの青色の話に終始していて

美容師さん的にはハイライトを活かすためには

多少それ以外の部分が暗くならないと

ハイライトは生きてこない、と考えたようで

全体的にはかなり落ち着いた色味に仕上がっていた。

しかも褪色していくと水色の予定であるスジスジは

今は青色だし。

暗い色味に青いスジが入っているのは

よく見ないと分からないくらい馴染んでいた。

 

あれもやってこれもしたい、というのは

そりゃぁ伝わらない。

しかも口頭で説明してるんだから無理がある。

そうだよね!明るい色味のとこにハイライトじゃ

生きない!そうなんだよえーん

 

いいじゃないか、これはこれでキレイにまとまってる

白髪も隠れたし、次来た時にまたチャレンジすれば。

そう思ってその日は帰った。

 

 

帰ってからもう一度鏡を見る。

この青色が褪色してきたら、もしかすると

理想に近くなるのかな……と

青色の毛束を持ち上げてみる。

どれくらいで水色になってくれるんだろう。

何週間か経てばまた違う風合いになるのかもしれない。

でもそれは今日じゃないし明日でもない。

水色……。

あの時惹かれたラーメン屋の列の彼女の髪色は

栗色に水色だった。

私は水色ってキレイ!と衝撃を受けていたが

それは栗色の中にあるのが好みだったのだ。

今頃何言ってんだって感じだが

素人が心に残ってる印象だけを強く推すと

プロにはうまく伝わらないんだと分かった。

というかそもそも、栗色を横に置いた私が悪いんだ!

水色水色ばっか言ってるからこうなるんだ。

くそぉぉーえーん

私のバカ!

 

これはこれでイイ!

いい色よ!

過去の自分を殴りながら、今鏡の中にいる自分を

しこたま褒めて暗示をかけた。

 

<続く>