小保方晴子博士のこと | しょうかんのうだうだ

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仏絵師藤野正観(66)の備忘録・・・っといっても、ほとんどどこにも出かけないので、ふだん、ぐだぐだ思ったり考えていることを書き連ねることになるのは必至。

ビッグニュースとして取り上げられている万能細胞「STAP細胞」。
体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見。研究のリーダーは、30歳の博士「小保方晴子」さん。

複数種類の遺伝子を組み込んで3週間も時間をかけて作るIPS細胞よりも簡単に作れ、IPS細胞で懸念されていた発ガンの可能性もなく、人の製造器である胎盤細胞まで製作できる「万能細胞」なのだそうだ。つまり一番優秀な再生万能細胞ということのようだ。

動物の【1、体細胞の分化の記憶を消去】し、【2、万能細胞(多能性細胞)】へと【3、初期化】する原理を新たに発見したということらしい。

初期化(リセット)と聞くと思い浮かぶのは身近なところでは、パソコンやスマートフォンンが固まった時によくやるあれだ、何ににも影響(指示・命令)されていない状態に戻す作業のことだ。 
血液細胞は血液細胞、神経細胞は神経細胞などの一定の細胞種類の枠を保ち、それを越えて変化することは今までの分子生物学の常識では原則的にはないことになっていた。つまり、皮膚細胞は皮膚に、骨の細胞は骨になるように指令を受けてそれぞれが存在している。
その各細胞の指令をまず、リセット解除してやるわけだ。
これが、オレンジ級の弱酸性の液に浸し、ストレスを与えるとそうなるのだそうだ・・・。
えらく簡単なことだと思うのだが、これが世紀の大発見というからおもしろい。

iPS細胞の山中教授も日本人研究者によって発信されたことを誇りに思うとのコメントを出しているが、ご本人の心境やいかに・・・。

彼女の所属する理研発生・再生科学総合研究センターでは、現時点ではマウスで成功しているそうだが、彼女が師と崇めるチャールズ・バカンティ教授らの共同研究グループは、サルでの実験も成功しているとのことだ。

人間の細胞から作るには多くの課題があると言うが、サルで成功してるのなら近い将来には、必ず人にも応用できるはずだ。
この発表で、すでに世界中の分子生物細胞学者が一斉に研究を始めたわけだから、あっという間に医療どころか、人の人生観を変えてしまうような、どえらいことが起こるような気がする。

しかし、この大発見、驚くのは、昨年春に世界的に権威のある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下された」そうだ。
愚弄と言われるほどの研究内容なら、誰もがそっぽを向くし、当の本人も研究を続ける気など消え失せてしまうはず。

なのに彼女は、「STAP細胞は必ず人の役に立つ技術だ」との信念を貫き、自身の足で膨大なデータを集め、その成果が2014年1月29日付けのネイチャーに掲載されることになったわけだ。

生物細胞学(分子生物学)の詳しい事は分からないが、生物細胞学の常識を覆す偉業と言う。

生命科学の歴史を塗り変えるものとも言われている。

ネイチャー誌の最初の投稿時の却下理由こそが、その独創性を物語るわけで、こんな偉業を、博士号を取ってわずか3年と言う、30歳の若き女性研究者が成し遂げたそのプロセスに感動する。

話が反れるが、彼女のハーバード時代の師、チャールズ・バカンティ教授は、常日頃、研究者にこんなことを言っていたそうだ。 「皆が憧れる、あらゆる面で成功した人生を送りなさい。全てを手に入れて幸せになりなさい」と・・・。

いい言葉だ。早稲田大学のHPの「ハーバード留学体験記」にあった。

この言葉を彼女は、「見本となる人生を送りなさい。」という全ての若者に向けた言葉だと理解したようだが、この教授の言葉・・・。私のところで勉強する彼女と同世代の弟子たちにも送りたい。まったく同感である。
たぶん、この言葉、彼女のやる気に火をつけたのだろう。

彼女のこれからの生き方、生き様にも、この言葉は大きな影響を及ぼすことだろう。

小保方さん自身「誰も信じてくれなかったことが何より大変だった」、「やめてやると思った日も、泣き明かした夜も数知れないですが、今日1日だけ頑張ろうと思ってやっていたら、5年が過ぎていた」と言う。

早稲田大学理工学部にAO入試(人物重視)の1期生として2002年に入学、面接で「再生医療の分野に化学からアプローチしたい」とアピール。卒業後2008年にハーバード大学医学部に留学。

当時、STAP細胞の研究をやっていたチャールズ・バカンティ教授の指導下で共同研究に従事した。

そのバカンティ教授が「ハルコは、最も努力する研究者で、いつも研究室にこもって最良の研究方法を考え出し、細心の注意を払う人でした。ハルコがいなかったら、この研究は達成できませんでした」と今回の成果を喜ぶ。

理研の笹井副センター長曰く「化学系の出身で、生物学の先入観がなく、データを信じて独自の考えを持っていた。真実に近づく力と、やり抜く力を持っていた」と。特殊なマウスを作るために世界有数の技術を持つ山梨大学若山教授とも彼女自身が直談判、ホテルに泊まりこみながら成果を出したと言う。

負けず嫌いで、とことんやり抜くのが信条と言うが、世界的に権威あるネイチャー誌からバカにされるほど世間の理解が得られない中で、自分の信念で動き、周囲を巻き込む力とは? 

若者の周囲に居る大人の気の利いた台詞が、その若者の生き方を左右することはよくあること。
私も、仕事は違うが、若い弟子たちに、そんな気の利いた台詞を残したいものである・・・。

久々の明るいニュースに日本中が沸き立っている。

彼女より3歳年上だが、米国NIHのウィルス研究者である娘婿も安月給で頑張っている。

彼女をはじめ、日本人の若い学者による『人類を救う為の研究』のさらなる発見、進展を期待したい。