ダスティン・ホフマンさんが人助け! | しょうかんのうだうだ

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仏絵師藤野正観(66)の備忘録・・・っといっても、ほとんどどこにも出かけないので、ふだん、ぐだぐだ思ったり考えていることを書き連ねることになるのは必至。

「ロンドンのハイドパークでジョギング中、心停止を起こした男性が8日、自身のブログで、たまたま通り掛かった俳優ダスティン・ホフマンさんが救急車を呼び、到着するまで付き添ってくれたおかげで助かったと感謝の念を表している。」
と、いうニュースが、今朝の聞き流しのFMラジオから流れた。

大好きな俳優D・ホフマンさんは、いくつになるんだろうと、調べると1937年生まれとあった。
私が1950年生まれなので、13歳年上の今年75歳ということになる。

彼の出演した映画で直ぐに頭に浮かぶのは「パピヨン」だ。
「卒業」でも「真夜中のカーボーイ」でもなく何故か「パピヨン」なのだ。

『パピヨン』(Papillon)は、1973年制作のアメリカ映画。当然ながらDVDを所蔵している。
胸に蝶の刺青をしていることで“パピヨン”と呼ばれた男が、1931年に無実の罪で終身刑となったものの、脱獄に成功し、後にベネズエラ市民権を取得したというアンリ・シャリエールの伝記小説を映画化したものだ。

そのパピヨンをスティーブ・マックイーン が演じ、 同じ囚人で国債偽造で逮捕された男ドガをこのホフマンが演じる。

南米ギアナのデビルズ島で過酷な強制労働が科せられる中、脱獄を決心したパピヨンが、同じ服役囚の偽札作りの天才ドガという男に目を付け、逃亡費用を稼ぐ。やがて二人は奇妙な絆で結ばれてゆく・・・。

スクリーンに映し出される南米ギアナのデビルズ島は、周囲が断崖で激流とサメが押し寄せ、脱出はとうてい不可能な南国の孤島。
主人公のパピヨンは、何度も脱出(脱獄)を試み、ついには成功、ベネズエラ市民になるというお話なのだが、世間から隔離されたこの島では手錠も足かせもなく、のどかな生活と景色だけがあったのだが・・・。

ドガは、この南国の小さな監獄島でブタや鶏を飼って囚人として平和?に暮らしていた。

だが、脱獄の執念に燃えるパピヨンは違う。
脱出のチャンスをうかがう彼は、試みにココナッツの実を海に投下し波の動きを調べる。
そして、断崖の下の入江に押し寄せる波は七つあり、その七つ目の波に乗れば沖へ出られることを発見した。

断崖絶壁と眼下に広がるギアナの青い海、岩に砕ける白い波。椰子の木や緑豊富な南国の島・・・。

このパピヨンの脱出案に、一時はドガも心を動かされたが、ドタン場で決意が崩れる。
抱きあって無言の別れを告げる二人。

ココナッツの実をつめた包みを七つ目の波に落下させ、パピヨンは絶崖から身をひるがえした。

見送るドガの眼には熱い涙がとめどもなく流れていた……。

この映画を観た当時の私は、もはや祖国に帰る夢をなくし、孤独だが平和な日々に満足し、この島に永住すると決めたドガの生き方に、自分で自分を追い込んだ「内弟子生活」と、監獄島である「デビルズ島」を無意識に重ていたのだと思う。

内弟子生活6年目、24歳。内弟子生活もまんざらでもない・・・と感じていた頃だった。

無実の罪を背負ったパピヨンは執念で脱獄した。

いづれ、パピヨンのように大海に脱出しなければならない。

図案家として「独立自営」というプレッシャーを背負いながら修行していた当時の私は、ホフマン扮するドガの決心に憧れただけかもしれないが・・・。

島に一人で残ったドガを臆病者というだけでは片付けられない、その微妙な心理をこのホフマンは見事に演じていた。