大抵、グレーゾーンに答えがある | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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 どういうわけか、人間は極端な思考に陥りやすい。

 例えば、「他責思考はよくない」という助言があったとしようか。その言葉自体は正しいよね。自分の問題として責任を引き受けて、その改善方法を模索する。でもね、実際のところ、その全てが自分の責任に帰するわけはないし、その全てが他人の責任に帰するわけでもない。仮にこれが交通事故だったら、その過失割合をちゃんと出すよね。自分の責任はどれくらい、他人の責任はどれくらい、とね。金銭がからむ保険であったら、こんな風に正確に算定されるのに、それ以外の物事ではどういうわけか、どちらか片方が悪い、と極端に決めつけられる(ことが多い)

 どこかの会社で誰かが遅刻したとしようか。大抵は、遅刻した人が100%悪い、となるだろう。でもね、そこがブラック企業で、長時間労働&パワハラが横行する環境だったら、どうだろう? 従業員は心身ともに疲弊している。そういう状況であったら、遅刻した人が100%悪いとはいえない。むしろ、会社側の過失割合が大きいように思える。そんな労働環境だったら、そりゃ、従業員も遅刻するよ。いや、遅刻どころか、病気になって入院するかもしれない。鬱病を発症するかもしれない。でもね、今度はこう批判されるよ。健康管理を怠っているから病気になる、とね。

 もうさ、世の中というのは結局、立場が弱い者が責められる。ただ、それだけのことが多い。だから、誰かを責める際には、保険の過失割合のイメージを持って判断するとよい。どっちかが100%悪い、ということもよくあるけど、私の実感ではそうではないことの方が多い。大抵は白黒はっきりつかないグレーゾーンに答えがある。