『ユニオン・クラブ綺談』(アイザック・アシモフ 著 池 央耿 訳。東京創元社)の読書メモ | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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・163~164ページ

情報の仕事に優秀な頭脳はまず必要がないからだよ。情報工作というのは、あらかたは気が遠くなるばかりの退屈で地味な仕事でね、工作員はひたすら与えられた役割を忠実に守らなくてはならない。それには埋没の精神を持った感受性の鈍い人間のほうが向いている。実際、わたしの知っている最も優秀な工作員は薄のろを絵に描いたような男だったよ。

↑『上司はなぜ無能なのか』という新書があったら、俺は買う。上司に対して、いつもそう思っているからだ。そして、その答えの一端が、上記の引用文に示されている。
 ここでは、情報工作員について述べているが、どの職種にも当てはまる普遍性のある意見だ。
 仕事というのは、大抵、退屈で地味だし、組織人たる者、与えられた役割を忠実に守ることが求められ、それは埋没の精神を持っていないと勤まらず、感受性の鈍さこそがその試練に耐え得る必須の能力といえる。そうして、その仕事をこなせた者が出世するのだから、ここに「薄のろを絵に描いたような上司」ができあがるのである。
 『上司はなぜ無能なのか』という新書の結論は、そんな感じになるはずだ。